【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
伯爵家は子爵家よりも爵位が一つだけ上と位置付けられていますが、実際その間には越えられない強大な壁があります。子爵男爵の爵位はお金でも買えますが、伯爵以上の爵位はお金では買えませんもの。ですから、普通に考えてわたくしの方がアルベール様に相応しいはずでございます。……あぁ、ですが、アルベール様はあの貧乏娘のことを心の底から愛していらっしゃるご様子でした。
「わたくしに、付け入る隙などないのでしょうか……?」
ふと、そう零してしまいます。ですが、認められなかった。そのため、わたくしは必死に首を横に振り「違いますわ!」と自分に言い聞かせました。わたくしとアルベール様が結ばれるわけであって、邪魔者はあの貧乏娘ですわ。そう、そうに決まって――。
「そうだよ。キミの言っていることは、正しい」
「ひっ!」
そう、思っていた時でした。ふと、わたくしの前に見知らぬ青年がいたのです。漆黒色の髪と、濃い緑色の目を持つその青年に、わたくしは確かに見覚えがありました。お名前はえっと、確かアルテュール・プレスマン様、だったはずですわ。ですが、何故ここに……? ここは、わたくしの私室ですのに……。
「ど、どうやって入ってこられましたのよ? 人を呼びますわよ! 不法侵入――」
「――うるさいなぁ。キミは喚くことしか出来ないの? そもそも、キミが自ら侍従を下がらせた、違う?」
「んんっぐ」
アルテュール様に手で口を塞がれ、わたくしは何も言えなくなります。た、確かにわたくしが人を下げたのでこうなったのもある意味正解かと思いますが、それは不法侵入をしていい理由にはなりませんわ! それに、どうして警備はこの男に気が付きませんの!?
「わたくしに、付け入る隙などないのでしょうか……?」
ふと、そう零してしまいます。ですが、認められなかった。そのため、わたくしは必死に首を横に振り「違いますわ!」と自分に言い聞かせました。わたくしとアルベール様が結ばれるわけであって、邪魔者はあの貧乏娘ですわ。そう、そうに決まって――。
「そうだよ。キミの言っていることは、正しい」
「ひっ!」
そう、思っていた時でした。ふと、わたくしの前に見知らぬ青年がいたのです。漆黒色の髪と、濃い緑色の目を持つその青年に、わたくしは確かに見覚えがありました。お名前はえっと、確かアルテュール・プレスマン様、だったはずですわ。ですが、何故ここに……? ここは、わたくしの私室ですのに……。
「ど、どうやって入ってこられましたのよ? 人を呼びますわよ! 不法侵入――」
「――うるさいなぁ。キミは喚くことしか出来ないの? そもそも、キミが自ら侍従を下がらせた、違う?」
「んんっぐ」
アルテュール様に手で口を塞がれ、わたくしは何も言えなくなります。た、確かにわたくしが人を下げたのでこうなったのもある意味正解かと思いますが、それは不法侵入をしていい理由にはなりませんわ! それに、どうして警備はこの男に気が付きませんの!?