【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
アルベール様が、何処か照れたようにそうおっしゃる。……いやいや! 拒否されて「可愛らしいなぁ」って思うって、どれだけポジティブ思考ですか?! そう思いながら私が目をぱちぱちと瞬かせていればアルベール様は、「だから、本当に気にしないで」とおっしゃってくださった。……私の気持ちを落ち着けるためや、罪悪感を軽くするためにおっしゃった冗談……ではなさそうだ。アルベール様は、ガチでそう思っていらっしゃる。
「シュゼット嬢。俺は、貴女のことを何も知らなかった。貴女のことを好きだと言っておきながら、そんなトラウマ、知らなかった。……俺、もっと貴女に配慮してあげるべきだった」
「い、いえ、私が、隠していたので。その……アルベール様の所為では、ありません」
そう、これは私が隠していたこと。アルベール様に知られないように、していたこと。だから、アルベール様が悪いわけじゃない。本当に、私が、私がすべて悪いのだから。
「でも、俺がもっと気が付いてあげられていたら……。そう、思ってしまって。テーリンゲン公爵家でのパーティーの時も、俺が側を離れなかったらって。そう、どれだけ思ったか……」
しょぼくれたようにそうおっしゃるアルベール様。……そう、思ってくださっていたのね。私の脳がそれを理解すると、何故か胸が温かくなる。もしかしたら私……アルベール様は大丈夫なのかな、なんて。いや、本人には現段階では絶対に告げないのだけれど。
「……アルテュール様の行動原理は、私に『嫌われること』でした。だから、私に嫌がらせをしてきました」
「それは、どういうことで?」
「私の心も脳も、全てを自分で埋め尽くす。それが、アルテュール様の望みで、私を傷つける理由だそうです」
私は、アルベール様をまっすぐに見据えてそう言った。声は、震えていなかった……と、思う。
「シュゼット嬢。俺は、貴女のことを何も知らなかった。貴女のことを好きだと言っておきながら、そんなトラウマ、知らなかった。……俺、もっと貴女に配慮してあげるべきだった」
「い、いえ、私が、隠していたので。その……アルベール様の所為では、ありません」
そう、これは私が隠していたこと。アルベール様に知られないように、していたこと。だから、アルベール様が悪いわけじゃない。本当に、私が、私がすべて悪いのだから。
「でも、俺がもっと気が付いてあげられていたら……。そう、思ってしまって。テーリンゲン公爵家でのパーティーの時も、俺が側を離れなかったらって。そう、どれだけ思ったか……」
しょぼくれたようにそうおっしゃるアルベール様。……そう、思ってくださっていたのね。私の脳がそれを理解すると、何故か胸が温かくなる。もしかしたら私……アルベール様は大丈夫なのかな、なんて。いや、本人には現段階では絶対に告げないのだけれど。
「……アルテュール様の行動原理は、私に『嫌われること』でした。だから、私に嫌がらせをしてきました」
「それは、どういうことで?」
「私の心も脳も、全てを自分で埋め尽くす。それが、アルテュール様の望みで、私を傷つける理由だそうです」
私は、アルベール様をまっすぐに見据えてそう言った。声は、震えていなかった……と、思う。