【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「……仕方がない。ありえないとは思いますが、万が一の時のためのルートも作っておきますか。……オフィエルに頼もう」

 魔法と言えば、思いつくのは二人しかいない。だが、もう片方は少々難がある性格なので、オフィエル側に頼むしかない。……いざとなったら、シュゼット嬢を助けてもらえるように。俺に、もしものことがあったら。そう、付け足すことにする。

「……死なない、傷つかないって、約束したけれど正直俺自身がどうなろうと知ったことじゃないし、命に執着がないんですよね」

 シュゼット嬢と指切りをしたけれど、俺は自分の命に執着がない。そもそも、シュゼット嬢を見て恋に落ちるまで生きがいなどなかったに等しいので。シュゼット嬢に恋をして、生きる気力を貰った。ただ、それだけ。だから、シュゼット嬢が居なければこんな風に楽しく生きていなかった。……約束、破ったら怒られるでしょうか。

 そう思いながら、俺はオフィエルに手紙を書く。内容は、先ほどの内容。そして、カトレイン嬢にも協力してほしいということ。彼女は、少々特殊な能力の持ち主。オフィエルが渋るでしょうが、彼女自身はシュゼット嬢の力になりたいと思ってくれている……はず。きっと、大丈夫。
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