【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「悪いですが、私は嫌われて喜ぶような変態と生涯を共にするつもりは一切ありません。お帰りください」
ただ、強気を装って私はそう言う。扉の方を指さしてそう言えば、アルテュール様は大声を上げて笑われた。……何が、おかしいのだろうか。こっちは必死だというのに。まさかだけれど、必死な私がおかしいとでも思っていらっしゃるのだろうか。だったら……尚更、私は彼と一緒にはなれない。
「そりゃあさぁ、キミに嫌われるのはすごく嬉しいよ。でも、最近気が付いちゃった。……これじゃあ、キミ自身を手に入れることは出来ても、キミの心は手に入らないなって」
「――何をっ!」
私がそう問いかけようとしたときだった。アルテュール様が一瞬で私との距離を縮めてこられる。そして、私の身体をソファーに押し倒してきたのだった。その力は、遠慮なんてない。そして、私の首に手を掛けようとされる。……私、ここで殺されるのだろうか。
「だから、取引をしようと思ってここに来たんだよ。……シュゼット・カイレ嬢を手に入れるために。その心も、俺のものにするために」
アルテュール様はその緑色の目を柔和に細められると、ポケットから小さな二つの瓶を取り出された。片方は、禍々しい赤紫色。もう片方は美しいブルー。
「この青色の方は、世にいう解毒剤だ。リーセロット嬢が持っていたナイフに塗ってある毒を、解毒するもの。悪いけれど、あの毒って体内に取り入れると昏睡状態に陥るからね。だから、この解毒剤がないとほとんど目覚めないだろうね」
「……う、そ、でしょう?」
「嘘じゃない。だってあれ、俺が魔法で作った毒だし。それくらい、出来るよねぇ」
アルテュール様はそうおっしゃると、ポケットに解毒剤だという瓶をしまわれる。そして、もう片方の禍々しい赤紫色の瓶を、私に差し出してこられた。
「これはね、世にいう惚れ薬。飲んだ後、初めて見た人物に惚れるの。……だからさ、シュゼット嬢――」
――この惚れ薬を飲んで、俺に惚れたら解毒剤をあげる。
アルテュール様はそうおっしゃると、その禍々しい赤紫色の瓶を、私の口元に押し付けてきた。
ただ、強気を装って私はそう言う。扉の方を指さしてそう言えば、アルテュール様は大声を上げて笑われた。……何が、おかしいのだろうか。こっちは必死だというのに。まさかだけれど、必死な私がおかしいとでも思っていらっしゃるのだろうか。だったら……尚更、私は彼と一緒にはなれない。
「そりゃあさぁ、キミに嫌われるのはすごく嬉しいよ。でも、最近気が付いちゃった。……これじゃあ、キミ自身を手に入れることは出来ても、キミの心は手に入らないなって」
「――何をっ!」
私がそう問いかけようとしたときだった。アルテュール様が一瞬で私との距離を縮めてこられる。そして、私の身体をソファーに押し倒してきたのだった。その力は、遠慮なんてない。そして、私の首に手を掛けようとされる。……私、ここで殺されるのだろうか。
「だから、取引をしようと思ってここに来たんだよ。……シュゼット・カイレ嬢を手に入れるために。その心も、俺のものにするために」
アルテュール様はその緑色の目を柔和に細められると、ポケットから小さな二つの瓶を取り出された。片方は、禍々しい赤紫色。もう片方は美しいブルー。
「この青色の方は、世にいう解毒剤だ。リーセロット嬢が持っていたナイフに塗ってある毒を、解毒するもの。悪いけれど、あの毒って体内に取り入れると昏睡状態に陥るからね。だから、この解毒剤がないとほとんど目覚めないだろうね」
「……う、そ、でしょう?」
「嘘じゃない。だってあれ、俺が魔法で作った毒だし。それくらい、出来るよねぇ」
アルテュール様はそうおっしゃると、ポケットに解毒剤だという瓶をしまわれる。そして、もう片方の禍々しい赤紫色の瓶を、私に差し出してこられた。
「これはね、世にいう惚れ薬。飲んだ後、初めて見た人物に惚れるの。……だからさ、シュゼット嬢――」
――この惚れ薬を飲んで、俺に惚れたら解毒剤をあげる。
アルテュール様はそうおっしゃると、その禍々しい赤紫色の瓶を、私の口元に押し付けてきた。