【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
第37話 真実とネタバラシ

「ほかの、魔女。まさか……!」

 アルテュール様はそう呟かれると、窓の外を忌々しげに睨みつけていらっしゃった。魔女の、血。そんなもの、伝説上のものではないの? そう思って私はアルベール様を見据えるけれど、アルベール様は「いるんですよ、その末裔が」とおっしゃった。

「いたでしょう、一人だけ。アルテュールの魔法が効かなかった令嬢が」

 そう言われて、私は記憶を引っ張り出した。……まさか、だけれど――。

「……カトレイン、様」

 テーリンゲン公爵家でのパーティーで、アルテュール様に再会したとき。周囲が私とアルテュール様に気が付かない中、たった一人だけ。カトレイン様「だけ」が私を庇えた。それはつまり、カトレイン様が魔女の血を引く末裔ということで、アルベール様を助けることが出来たということ、よね。

「魔女の血は濃ければ濃いほど、様々な魔法が使え、ほかの魔法を無効化できます。簡単に言えば、アルテュールが引く魔女の血よりも、カトレイン嬢の血の方が濃かったということです。……ま、おかげで俺はオフィエルにたっぷり絞られましたけれどね」

 そうおっしゃるアルベール様は、ただまっすぐにアルテュール様を見据えた。すると、アルテュール様は髪の毛を掻きむしり、「あの女ぁ!」と叫ばれていた。……それに、私はカチンと来てしまった。カトレイン様は私の大切なお友達だ。だから、そんな風に侮辱されていいわけがない。
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