【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
第39話 私と婚約者のその後

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「シュゼット! シュゼット~!」
「アルベール様。そう何度も名前を呼ばなくても、きちんと聞こえていますよ」

 恒例となった二週間に一度の二人きりのお茶会の場。そこで、私はアルベール様とお茶をしていた。目の前にある湯気の上がる温かい紅茶に口を付けながらも、私はべったりとくっついてこられるアルベール様を手で制す。本日は生憎の雨模様。だから、室内でお茶をしているのだけれど……ソファーの真横に座られていて、鬱陶しいちゃありゃしない。

「いえ、シュゼットって呼べるのが嬉しくて……。なんだか、婚約者みたいじゃないですか」
「私たち、ずっと婚約者だったじゃないですか」
「そうじゃなくて。気持ちが通じ合ったのが、すごく嬉しくて……」

 アルベール様ははにかみながらそうおっしゃる。あれから話し合いを重ねて、私とアルベール様の婚約は続行することが決まった。私の中で確かに苦手意識はあるものの、「好き」という感情が大きくなったためだ。そして、私はアルベール様にお礼をすることにした。私が欲しいものを尋ねれば、アルベール様は静かにこうおっしゃったのだ。

 ――シュゼットって、呼び捨てで呼びたい、と。

 だから、私たちは「アルベール様」「シュゼット」と呼び合う。これじゃあ仲睦まじい婚約者同士じゃない。そう思うけれど、両想いになった時点でそうなのかな、とも思う。

 ちなみに、私に嫌がらせをしていた令嬢たちは一人残らず謹慎処分を受けた。それは、アルベール様が行ったことらしい。……正直、やりすぎな気もするけれど、クールナン侯爵に「敵は徹底的につぶす」と教えられたとかなんとか。……物騒な親子だ。
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