【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「……シュゼットとずっと一緒に居られるって思ったら、嬉しくて嬉しくて仕方がないです!」
「そうですか。私も嬉しいと言えば嬉しいですが、暑苦しいので少し離れてください」

 私はそう言ってアルベール様の胸を押す。あ、あとリーセロット様とアルテュール様のその後について、か。

 リーセロット様は実行犯だったけれど、魔法で操られていたということで実家を勘当されて修道院に送られる刑となった。つまり、罪は修道院での奉仕で償えということだ。マーセン伯爵は最後まで娘を修道院に送ることを渋っていたものの、クールナン侯爵家の圧力に負けたらしい。……さすがは、名家。

 そして、肝心のアルテュール様。アルテュール様は黒幕であり、犯罪の首謀者と認定され幽閉の刑に処された。幽閉の刑とは、四方を湖に囲まれた塔に閉じ込められ、一生出られないという刑だ。正直、アルテュール様はそう簡単に諦めてくれないと思うのだけれど、そこばかりは祈るしかない。彼が、諦めてくれることを。

「……これで、よかったのでしょうか。リーセロット様のことも」

 私はふと、そう呟いてしまう。はっきりと言って、アルテュール様は自業自得だと思う。けど、リーセロット様はそうじゃない部分がある。弱いところに付け込まれて、罪を犯してしまった。そりゃあ、私だって許せない。……でも、そう思ってしまうのだ。

「リーセロット嬢の一番の罪は、付け入る隙を与えたことです。魔女の血を引く輩は、人の弱い心の隙間に入り込んだりする。……正直、カトレイン嬢のような人が珍しい」
「……そうなのですか」

 私はアルベール様のお言葉にそう返事をして、クッキーに手を伸ばす。魔女の血を引く人間は、どうにも狂いやすい部分があるらしい。強大な力を体内に秘めているため、精神が安定しないとかなんとか。
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