【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
第40話 これから、二人で
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教会の控室から見える空はとても青くて、雲一つなかった。目の前にある鏡を見れば、そこにはいつも以上におしゃれをした私がいる。真っ白な穢れのないウェディングドレスは、綺麗系のデザインを採用し装飾は必要最低限のみ。それでもすごく綺麗に見えるのだから、ドレスのデザインもメイクの腕も素晴らしいと思った。
本日は私とアルベール様の挙式の日。私が十八歳を迎えて丁度一ヶ月が経った本日。私とアルベール様は夫婦になる。
「お嬢様、暑くはないですか?」
「えぇ、大丈夫よ、エスメー。しかし、何回目かしら、その質問」
私がそう言えば、エスメーは「九回目くらいですかね」とはにかみながら答えてくれた。確かに外は夏ということもあり暑い。でも、教会の中は冷却魔法で適温が保たれているし、控室もそう。それに、何よりもこのウェディングドレスが快適なのだ。
「シュゼット様。アルベール様がいらっしゃいましたよ」
そんなことをエスメーと話していると、ふと警備の人が扉越しにそう声をかけてくれた。なので、私は「着替えは終わっているので、どうぞ」とだけ声をかける。すると、煌びやかな衣装に身を包んだアルベール様が入ってこられる。そして、私のことを見てぱぁっと表情を明るくされた。
「シュゼット! 今日はいつも以上に綺麗ですね!」
その後、アルベール様はそんなことを叫ばれる。よくよく見れば、アルベール様の衣装の胸元にはクールナン侯爵家の家紋があしらわれており、その衣装が特注品だということは容易に想像が出来た。