【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「……いや、私よりもいい人を見つけるという選択肢は、ないのですか?」
「あるわけないじゃないですか! 俺がシュゼット嬢に片想いをして何年が経つと思うのですか? 婚約前から見つめて、見つめて、見つめ続けてきたのに……! なのに、こんなにも簡単にフラれたら死んでも死に切れません! 貴女に憑きますから!」
「ちょっと待ってください。憑くとかそれ以前に、婚約前から見つめていたってどういうことですか?」
「そんなの、貴女に出逢ったその日からですよ。貴女を一目見たとき、俺は思いました。――天使がいるって」
待って待って、私、間違いなく人間。紛れもない人間。呆然としながら、私は心の中でそんなことを叫んでしまう。……もしかしてだけれど、このお方私のことを神聖化していないかしら? 先ほども聖なる力とか浄化とかおっしゃっていたし……。これ、かなり重症の変態なのでは……!
「……いや、アルベール様。今までの寡黙な態度は何処に置いてこられたのですか?」
「そんなもの、貴女との婚約解消を阻止するためにと捨てました! 貴女のためだったらプライドだって捨てます!」
「うん、お願いですから人前でそんなことを軽々しくおっしゃらないでくださいね」
アルベール様はこれでも次期侯爵様なのだ。そんな簡単にプライドを捨てるとか、言っちゃダメだ。私とは全然言葉の重みが違うのよ。
「シュゼット嬢ー!」
私のドレスを掴んで、私の名前を叫び続けるアルベール様。いや、もういい加減本当にドレスを放してくださいよ……。アルベール様のお力だったら、いつ千切れてもおかしくないのだから。今ドレスが千切れたら、私はいったいどんな格好をして屋敷に帰ればいいのだろうか?
「あるわけないじゃないですか! 俺がシュゼット嬢に片想いをして何年が経つと思うのですか? 婚約前から見つめて、見つめて、見つめ続けてきたのに……! なのに、こんなにも簡単にフラれたら死んでも死に切れません! 貴女に憑きますから!」
「ちょっと待ってください。憑くとかそれ以前に、婚約前から見つめていたってどういうことですか?」
「そんなの、貴女に出逢ったその日からですよ。貴女を一目見たとき、俺は思いました。――天使がいるって」
待って待って、私、間違いなく人間。紛れもない人間。呆然としながら、私は心の中でそんなことを叫んでしまう。……もしかしてだけれど、このお方私のことを神聖化していないかしら? 先ほども聖なる力とか浄化とかおっしゃっていたし……。これ、かなり重症の変態なのでは……!
「……いや、アルベール様。今までの寡黙な態度は何処に置いてこられたのですか?」
「そんなもの、貴女との婚約解消を阻止するためにと捨てました! 貴女のためだったらプライドだって捨てます!」
「うん、お願いですから人前でそんなことを軽々しくおっしゃらないでくださいね」
アルベール様はこれでも次期侯爵様なのだ。そんな簡単にプライドを捨てるとか、言っちゃダメだ。私とは全然言葉の重みが違うのよ。
「シュゼット嬢ー!」
私のドレスを掴んで、私の名前を叫び続けるアルベール様。いや、もういい加減本当にドレスを放してくださいよ……。アルベール様のお力だったら、いつ千切れてもおかしくないのだから。今ドレスが千切れたら、私はいったいどんな格好をして屋敷に帰ればいいのだろうか?