【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「お褒めいただき、ありがとうございます。アルベール様もよくお似合いですよ」
「シュゼットに褒めてもらえると、嬉しいですね! これ、今度の新事業の試作品みたいなものですよ!」

 そうおっしゃったアルベール様は、私のすぐそばに寄ってこられる。そう言えば、新事業はウェディング関連なのだっけ。アルベール様とオフィエル様、ほか四人の貴族のご令息の共同事業ということもあり、貴族界隈では注目の的。しかも、その六人全員が見た目麗しいとなれば、令嬢たちが騒ぐのだ。ま、全員に婚約者がいるのだけれど。あ、アルベール様と私は今日から夫婦か。

「しかしまぁ、試作品とは思えないくらいの出来ですね」
「そうですね。今回は張り切って仕立ててもらいましたし。シュゼットのウェディングドレスも、同じなんですよ」
「そうなのですか。涼しくて快適ですね、これ」

 正直感想がそれでいいのかと思ったけれど、アルベール様は嬉しそうに「よかった」とおっしゃってくださる。……うん、普通の令嬢だったらもっと気の利いたことが言えるわよね。まぁ、私じゃ無理なのだけれど。

「広告になるので、挙式のプランはすべてあいつらと練ったものになります。……すみませんね、広告になってもらって」
「いえいえ、別にお構いなく」
< 140 / 142 >

この作品をシェア

pagetop