【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
――シュゼット嬢だけは違う、と。
シュゼット嬢は清らかで美しくて可愛らしい。さらに、なんといってもその笑顔が魅力的だった。生憎、俺に向けられることは少ないものの、家族と談笑しているときの笑みは最高だった。あれを思い出すだけで百年は生きていけそうだった。あぁ、最高。
しかし、どうやら俺のその気持ちは全くと言っていいほど伝わっていなかったらしくて。まぁ、元より俺は不器用だと言われてきた。元より、口下手だと言われてきた。元より、目つきが悪いと言われてきた。しかも、そのすべてがシュゼット嬢からの評価をマイナスにしてしまっていた。後悔が強すぎる。あぁ、もっと早くこのことに気が付いていれば……! そうすれば、こんなことにはならなかっただろうに……!
「とりあえず、シュゼット嬢とまともにお話をする練習から、始めましょうか。視線を合わせて会話をする。睨みつけないように愛情をこめて見つめる。それから、きちんと会話をする。……出来るのでしょうか」
自分で口に出して分かったが、それはかなりきついことだ。俺はシュゼット嬢を前にすると、すべての言葉が脳内から消えていく性質だ。あれはまるで浄化の力のよう。下心しかない俺が汚らわしく思えるぐらい。
視線を合わせるのも酷だ。あの美しい目を見つめながら、美しい声を聞けば尊すぎて死ぬ。だが、シュゼット嬢と生きて夫婦になるためには、死ねない。……なんという、酷な現実。
それから、睨みつけないように愛情をこめて見つめる。……これも難しい。もっと穏やかに見える顔立ちに生まれていれば、こんな悩みはなかったはず。正直、顔を変えたくて仕方がない。
「ですが、シュゼット嬢はこんな俺を男らしくてかっこいいと言ってくれた。顔を変えるのにはデメリットも大きいだろうし……」
シュゼット嬢は、俺のことを「男らしくてかっこいい」と言ってくれた。たとえその中に込められた感情が「励まし」だけだったとしても、あの言葉だけで生きていける。脳内にしっかりと焼き付けた。いつでも脳内でリピート出来る。あぁ、でも切実に声を録音できる魔道具が欲しい。……作りましょうか。
シュゼット嬢は清らかで美しくて可愛らしい。さらに、なんといってもその笑顔が魅力的だった。生憎、俺に向けられることは少ないものの、家族と談笑しているときの笑みは最高だった。あれを思い出すだけで百年は生きていけそうだった。あぁ、最高。
しかし、どうやら俺のその気持ちは全くと言っていいほど伝わっていなかったらしくて。まぁ、元より俺は不器用だと言われてきた。元より、口下手だと言われてきた。元より、目つきが悪いと言われてきた。しかも、そのすべてがシュゼット嬢からの評価をマイナスにしてしまっていた。後悔が強すぎる。あぁ、もっと早くこのことに気が付いていれば……! そうすれば、こんなことにはならなかっただろうに……!
「とりあえず、シュゼット嬢とまともにお話をする練習から、始めましょうか。視線を合わせて会話をする。睨みつけないように愛情をこめて見つめる。それから、きちんと会話をする。……出来るのでしょうか」
自分で口に出して分かったが、それはかなりきついことだ。俺はシュゼット嬢を前にすると、すべての言葉が脳内から消えていく性質だ。あれはまるで浄化の力のよう。下心しかない俺が汚らわしく思えるぐらい。
視線を合わせるのも酷だ。あの美しい目を見つめながら、美しい声を聞けば尊すぎて死ぬ。だが、シュゼット嬢と生きて夫婦になるためには、死ねない。……なんという、酷な現実。
それから、睨みつけないように愛情をこめて見つめる。……これも難しい。もっと穏やかに見える顔立ちに生まれていれば、こんな悩みはなかったはず。正直、顔を変えたくて仕方がない。
「ですが、シュゼット嬢はこんな俺を男らしくてかっこいいと言ってくれた。顔を変えるのにはデメリットも大きいだろうし……」
シュゼット嬢は、俺のことを「男らしくてかっこいい」と言ってくれた。たとえその中に込められた感情が「励まし」だけだったとしても、あの言葉だけで生きていける。脳内にしっかりと焼き付けた。いつでも脳内でリピート出来る。あぁ、でも切実に声を録音できる魔道具が欲しい。……作りましょうか。