【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「次はその指輪と同じデザインのネックレスとか、どうですか? あ、あと、イヤリングとかもいいですよね。髪飾りも……」
「それは、何かのお祝いのプレゼントですか?」
「そうですねぇ……。あえて言うのならば、シュゼット嬢と会えた記念日ですかね」
「……意味が分かりませんよ、それ」
やっぱり、このお方とは金銭感覚が合わない。そりゃあ、アルベール様は名門侯爵家のご令息。しかも、跡取り息子。クールナン侯爵家はとても裕福だと有名だし、幼い頃からお金に苦労をしたことがないのだろう。うぅ、その点は素直に羨ましいと思える。カイレ子爵家は名ばかりの貴族だから、お金も発言権もない。はぁ、天と地の差だなぁ。
「アルベール様。お金をもう少しでいいので、大切にしましょうね。降ってわいてくるものではないのですから……」
「分かっていますよ。……父が、俺の母に常々そんな説教を受けていますから」
「じゃあ、何故アルベール様は出来ないのですか」
「父が全く言うことを聞いていないので」
「お金遣いの荒さは遺伝ですか。そうですか。出来る限り直してください」
そう言えば、クールナン侯爵も結構お金遣いが荒いという噂も、聞いたことがあった気がする。買い物は女性ものの衣装やアクセサリー、後は異国の美味な食材……とか、だったような。うん、食材はともかく、女性ものを買いあさるのは既視感が……。
「まさかですが、クールナン侯爵は夫人へのプレゼントを購入されているのですか? 噂だと、女性ものばかり購入しているとか、何とか……」
「そうですよ。おかげで宝石商とかデザイナーとかがよく屋敷に出入りしていて。まぁ、俺もそのおかげでシュゼット嬢をイメージしたドレスとかを変えるので、感謝していますけれど」
悪びれもなくそんなことをおっしゃるアルベール様に、私はどう反応すればいいかが分からなかった。そもそも、そのお話を聞くにクールナン侯爵は夫人に怒られている気がする。私だったら、怒る。
「……クールナン侯爵は、夫人にいつも怒られていそうですよね」
「まぁ、大体いつも怒られていますよ。怒られるたびに俺の母に泣きついて縋っていますけれどね。あれ、結構面白いですよ。見ている分には」
「……アルベール様も、似たようなことをされていましたよね?」
なるほど、縋るのも遺伝だったのか。納得……って、出来るわけないわよ! はぁ、この人の歪んだ倫理観を正して常識を植え付けたい。何とかして、まともな人間になっていただきたい。そう、心の底から思ってしまうのだけれど……私っていったい、アルベール様の何なのだろうか? 婚約者って、元は赤の他人のはずよね?
(私は、アルベール様の母でも姉でもないですってば……)
心の中でそう思いながら、私は小さくため息をついた。
「それは、何かのお祝いのプレゼントですか?」
「そうですねぇ……。あえて言うのならば、シュゼット嬢と会えた記念日ですかね」
「……意味が分かりませんよ、それ」
やっぱり、このお方とは金銭感覚が合わない。そりゃあ、アルベール様は名門侯爵家のご令息。しかも、跡取り息子。クールナン侯爵家はとても裕福だと有名だし、幼い頃からお金に苦労をしたことがないのだろう。うぅ、その点は素直に羨ましいと思える。カイレ子爵家は名ばかりの貴族だから、お金も発言権もない。はぁ、天と地の差だなぁ。
「アルベール様。お金をもう少しでいいので、大切にしましょうね。降ってわいてくるものではないのですから……」
「分かっていますよ。……父が、俺の母に常々そんな説教を受けていますから」
「じゃあ、何故アルベール様は出来ないのですか」
「父が全く言うことを聞いていないので」
「お金遣いの荒さは遺伝ですか。そうですか。出来る限り直してください」
そう言えば、クールナン侯爵も結構お金遣いが荒いという噂も、聞いたことがあった気がする。買い物は女性ものの衣装やアクセサリー、後は異国の美味な食材……とか、だったような。うん、食材はともかく、女性ものを買いあさるのは既視感が……。
「まさかですが、クールナン侯爵は夫人へのプレゼントを購入されているのですか? 噂だと、女性ものばかり購入しているとか、何とか……」
「そうですよ。おかげで宝石商とかデザイナーとかがよく屋敷に出入りしていて。まぁ、俺もそのおかげでシュゼット嬢をイメージしたドレスとかを変えるので、感謝していますけれど」
悪びれもなくそんなことをおっしゃるアルベール様に、私はどう反応すればいいかが分からなかった。そもそも、そのお話を聞くにクールナン侯爵は夫人に怒られている気がする。私だったら、怒る。
「……クールナン侯爵は、夫人にいつも怒られていそうですよね」
「まぁ、大体いつも怒られていますよ。怒られるたびに俺の母に泣きついて縋っていますけれどね。あれ、結構面白いですよ。見ている分には」
「……アルベール様も、似たようなことをされていましたよね?」
なるほど、縋るのも遺伝だったのか。納得……って、出来るわけないわよ! はぁ、この人の歪んだ倫理観を正して常識を植え付けたい。何とかして、まともな人間になっていただきたい。そう、心の底から思ってしまうのだけれど……私っていったい、アルベール様の何なのだろうか? 婚約者って、元は赤の他人のはずよね?
(私は、アルベール様の母でも姉でもないですってば……)
心の中でそう思いながら、私は小さくため息をついた。