【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「少し、お話をしましょうか。大丈夫、男二人はまとめておいていいから。……あ、自己紹介がまだだったわね。私はアルベルティナ・クールナン。貴女は?」
「え、えっと、シュゼット・カイレ、と申します……」
「そうなのね。じゃあ、シュゼットちゃんって呼ぶわ。……ごめんなさいね。アルベールの意見を聞いて、旦那様が勝手に婚約を取り付けたものだから、私貴女のことをよく知らないの」
「い、いえ……」
自身の片頬に手を当ててそうおっしゃるクールナン侯爵夫人はとてもお美しい。……というか、お名前アルベルティナ様って言うんだ……。確かに、クールナン侯爵から「ティナ」って呼ばれていたから、ティナが付くお名前だとは思っていたけれど……アルベール様とそっくりなお名前じゃない。
「貴女、私の名前が気になっているでしょう?」
「……どうして、それを」
「いいのよ、よく言われるから。旦那様がね、生まれた子供には私とそっくりな名前を付けるって駄々をこねられたのよ。だから、あの子の名前は私の名前にそっくりでアルベールなのよ」
何でもない風にそうおっしゃるクールナン侯爵夫人に、私が抱いた感想は「慣れって、やっぱり怖い」だった。だってそうじゃない。普通、自分の妻と似たような名前を子供に付けないわよ。なのに、それにも動じない。もう、私の未来にしか見えない。滅茶苦茶私と重なってしまう。逃げたい。すごく、逃げたい。
「え、えっと、シュゼット・カイレ、と申します……」
「そうなのね。じゃあ、シュゼットちゃんって呼ぶわ。……ごめんなさいね。アルベールの意見を聞いて、旦那様が勝手に婚約を取り付けたものだから、私貴女のことをよく知らないの」
「い、いえ……」
自身の片頬に手を当ててそうおっしゃるクールナン侯爵夫人はとてもお美しい。……というか、お名前アルベルティナ様って言うんだ……。確かに、クールナン侯爵から「ティナ」って呼ばれていたから、ティナが付くお名前だとは思っていたけれど……アルベール様とそっくりなお名前じゃない。
「貴女、私の名前が気になっているでしょう?」
「……どうして、それを」
「いいのよ、よく言われるから。旦那様がね、生まれた子供には私とそっくりな名前を付けるって駄々をこねられたのよ。だから、あの子の名前は私の名前にそっくりでアルベールなのよ」
何でもない風にそうおっしゃるクールナン侯爵夫人に、私が抱いた感想は「慣れって、やっぱり怖い」だった。だってそうじゃない。普通、自分の妻と似たような名前を子供に付けないわよ。なのに、それにも動じない。もう、私の未来にしか見えない。滅茶苦茶私と重なってしまう。逃げたい。すごく、逃げたい。