【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
第11話 いや、私普通の女性ですよ……

「母様! ……その、シュゼット嬢、には……」
「あぁ、大丈夫よ。貴方にとって都合の悪いことは、話していないわ」

 それから少しだけクールナン侯爵夫人と会話をした後。アルベール様が、慌ててこちらに駆け寄ってこられた。そして、私に飛びついてこられる。お、重い! 手加減してくださっているから倒れなかったけれど、重いのには変わりないわよ!

「シュゼット嬢! 母様に何か余計なことは吹き込まれませんでしたか!?」
「だ、大丈夫、ですよ……。ただ、重い、です……!」

 クールナン侯爵夫人からはむしろ励ましをいただいた。でも、アルベール様は「本当ですか!?」「余計なことは、吹き込まれませんでしたか!?」と問い詰めてこられる。しかも、私のことをぎゅうぎゅうと抱きしめられながら。いや、そもそもこれは問い詰めなんて生ぬるいものじゃない。尋問だ、尋問。犯罪者って、こういう気分なのかしら? 初体験だわ……って、そうじゃない。

「……アルベール。さっさとシュゼットちゃんから放れなさい。この子は私と違ってか弱いのよ? 今もほら……潰れそうになっているじゃない」
「あ……シュゼット嬢!」

 そうおっしゃって、アルベール様はようやく私から離れて私の顔色を窺ってこられる。うん、先ほどから私ずっと「重い」って言っていましたよね……? そんなに、何かを吹き込まれたと思っていらっしゃるのでしょうか? まぁ、ありえるわよね。母親って結構息子の黒歴史握っていることが多いから。それは、お兄様で実感しているわ。
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