【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「あのね、アルベール。女の子はか弱いのよ。誰もが私みたいだと思わないことね。……そうじゃないと、本当に愛想を尽かして逃げられちゃうわよ」
「……肝に銘じておきます」
「よろしい。じゃあ、私はこれにて失礼するわ。バイバイ、シュゼットちゃん。今度は二人きりでお話をしましょうね」
「はい……」
クールナン侯爵夫人はそれだけをおっしゃると、さっさとこの場を立ち去って行かれた。そして、一度お屋敷の中に戻られる。大方、クールナン侯爵のことでも見に行かれたのだろう。……正直、クールナン侯爵夫人を見て感じたのは「猛獣使い」みたいだと言うこと。私も、あんな風になれるのだろうか? ……無理な気しかしないわ。
「シュゼット嬢! 本当に、本当に何も変なことは吹き込まれていませんよね!? 母様、何をするかわかったものではないので……!」
「いや、どうしてそんなにも自分の母親に怯えているのですか……」
「い、いえ、父様がしょっちゅう地雷を踏んでは罰を受けているので……。この間は、二階から落とされていました」
「……よく、ご無事でしたね」
「まぁ、日常的ですから。軽傷でしたよ」
クールナン侯爵家とは、人外の家系なのだろうか? そう、思ってしまった。だって、普通二階から落とされたら大怪我を負うでしょう? ……うん? ちょっと待って? 今、二階から落とされたっておっしゃったわよね? 突き落とされたのでは、なくて?
「あ、あの、アルベール様。突き落とされた……のですよね?」
大人の男性を持ち上げるなんて、普通出来やしない。きっと、言葉のあやだ。そう、自分に言い聞かせようとした。だって、クールナン侯爵夫人はとても細い。ムキムキではない。そんな女性が、大人の男性を持ち上げて落とすなんて、出来るわけがなくて……。
「……肝に銘じておきます」
「よろしい。じゃあ、私はこれにて失礼するわ。バイバイ、シュゼットちゃん。今度は二人きりでお話をしましょうね」
「はい……」
クールナン侯爵夫人はそれだけをおっしゃると、さっさとこの場を立ち去って行かれた。そして、一度お屋敷の中に戻られる。大方、クールナン侯爵のことでも見に行かれたのだろう。……正直、クールナン侯爵夫人を見て感じたのは「猛獣使い」みたいだと言うこと。私も、あんな風になれるのだろうか? ……無理な気しかしないわ。
「シュゼット嬢! 本当に、本当に何も変なことは吹き込まれていませんよね!? 母様、何をするかわかったものではないので……!」
「いや、どうしてそんなにも自分の母親に怯えているのですか……」
「い、いえ、父様がしょっちゅう地雷を踏んでは罰を受けているので……。この間は、二階から落とされていました」
「……よく、ご無事でしたね」
「まぁ、日常的ですから。軽傷でしたよ」
クールナン侯爵家とは、人外の家系なのだろうか? そう、思ってしまった。だって、普通二階から落とされたら大怪我を負うでしょう? ……うん? ちょっと待って? 今、二階から落とされたっておっしゃったわよね? 突き落とされたのでは、なくて?
「あ、あの、アルベール様。突き落とされた……のですよね?」
大人の男性を持ち上げるなんて、普通出来やしない。きっと、言葉のあやだ。そう、自分に言い聞かせようとした。だって、クールナン侯爵夫人はとても細い。ムキムキではない。そんな女性が、大人の男性を持ち上げて落とすなんて、出来るわけがなくて……。