【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
オフィエルのその言葉に適当な返事をしながら、俺も廊下を歩く。はぁ、さっさと終わらせてシュゼット嬢の元に帰ろう。オフィエルと一緒にいても、楽しくない。オフィエルもそう思っているでしょうが。オフィエルだって、カトレイン嬢とずっと一緒にいたいはず。
「猫かぶり野郎が……!」
「婚約の解消をお願いされて、縋るキミよりはずっとマシ」
……一体、その情報は何処から得たのだろうか。そう思ったが、どうせ母様が話したのだろう。オフィエルの母親と母様は大層仲がいいから。……というか、オフィエルの母親が母様を尊敬していると言った方が正しいのか。ずっと前に、二人で物騒な話をしていたのは記憶に残っている。
「ははっ、いつ見てもカトレインは可愛いねぇ……! いっそ、閉じ込めちゃいたいくらい可愛いなぁ……!」
うっとりとした表情でそう言うオフィエルに、俺はただ静かにため息をついた。このとち狂い野郎が! と言ってやりたいが、盛大なブーメランだと言われそうなので、口を閉じる。俺だって、成長するのだ。……それが、悪い方なのか良い方なのかは置いておくとして。
「じゃあ、さっさと行くよ。仕事の話なんて楽しくないし、カトレインがいない場所に興味なんてないし」
「はいはい」
オフィエルの言葉にそんな返事をして、俺は歩く速度を速めた。仕事の話なんて、くだらない。でも、シュゼット嬢のためだと自分を奮い立たせる。
この時、俺がシュゼット嬢の元を離れるべきではなかったのだと気が付いたのは、俺が会場に戻ってシュゼット嬢が倒れたという話を、聞いた時だった。
「猫かぶり野郎が……!」
「婚約の解消をお願いされて、縋るキミよりはずっとマシ」
……一体、その情報は何処から得たのだろうか。そう思ったが、どうせ母様が話したのだろう。オフィエルの母親と母様は大層仲がいいから。……というか、オフィエルの母親が母様を尊敬していると言った方が正しいのか。ずっと前に、二人で物騒な話をしていたのは記憶に残っている。
「ははっ、いつ見てもカトレインは可愛いねぇ……! いっそ、閉じ込めちゃいたいくらい可愛いなぁ……!」
うっとりとした表情でそう言うオフィエルに、俺はただ静かにため息をついた。このとち狂い野郎が! と言ってやりたいが、盛大なブーメランだと言われそうなので、口を閉じる。俺だって、成長するのだ。……それが、悪い方なのか良い方なのかは置いておくとして。
「じゃあ、さっさと行くよ。仕事の話なんて楽しくないし、カトレインがいない場所に興味なんてないし」
「はいはい」
オフィエルの言葉にそんな返事をして、俺は歩く速度を速めた。仕事の話なんて、くだらない。でも、シュゼット嬢のためだと自分を奮い立たせる。
この時、俺がシュゼット嬢の元を離れるべきではなかったのだと気が付いたのは、俺が会場に戻ってシュゼット嬢が倒れたという話を、聞いた時だった。