【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「テーリンゲン公爵家のパーティーに出向かれて、倒れられて熱を出されるなんて、本当に散々ですね」
「本当にそうよ。……それに、最悪の相手にも再会してしまったし……」
私はエスメーにそう零してしまった。すると、エスメーは「まさか、ですが……」と言って驚愕の表情を浮かべる。エスメーはアルテュール様のことを知っている。だから、「最悪の相手」と聞いて彼のことが真っ先に思い浮かんだのだろう。
「プレスマン伯爵家の、ご令息……」
「そうよ、それからアルテュール様よ。いい加減名前を憶えてあげて」
「すみません。私、人のお名前とお顔を一致させるのが不得意なものでして……」
そう言って、エスメーは私を安心させるかのように笑いかけてくれた。……エスメーは、本当に素晴らしい侍女だ。だから、顔と名前を一致させるのも本当のところは得意。これは彼女なりのジョーク。……まぁ、アルテュール様に関しては本当に覚えていない可能性もあるのだけれど。いろいろと、苦手みたいだし。
「ですが、お嬢様にはもうすでに婚約者の方が……」
「えぇ、アルベール様がいらっしゃるわ」
まぁ、その婚約もどうなるか分かりませんけれどね! いつものようにそんな副音声を付け足すけれど、エスメーには届いていないに決まっている。というか、やっぱり私は事故物件男を引き寄せるプロなのかしら? アルベール様と言い、面倒な男性に好かれやすい体質なのかしら? ……はぁ、今すぐにでもこの体質を捨てたいわ。出来れば、素敵な「普通」の男性との出逢いが、欲しい。
「本当にそうよ。……それに、最悪の相手にも再会してしまったし……」
私はエスメーにそう零してしまった。すると、エスメーは「まさか、ですが……」と言って驚愕の表情を浮かべる。エスメーはアルテュール様のことを知っている。だから、「最悪の相手」と聞いて彼のことが真っ先に思い浮かんだのだろう。
「プレスマン伯爵家の、ご令息……」
「そうよ、それからアルテュール様よ。いい加減名前を憶えてあげて」
「すみません。私、人のお名前とお顔を一致させるのが不得意なものでして……」
そう言って、エスメーは私を安心させるかのように笑いかけてくれた。……エスメーは、本当に素晴らしい侍女だ。だから、顔と名前を一致させるのも本当のところは得意。これは彼女なりのジョーク。……まぁ、アルテュール様に関しては本当に覚えていない可能性もあるのだけれど。いろいろと、苦手みたいだし。
「ですが、お嬢様にはもうすでに婚約者の方が……」
「えぇ、アルベール様がいらっしゃるわ」
まぁ、その婚約もどうなるか分かりませんけれどね! いつものようにそんな副音声を付け足すけれど、エスメーには届いていないに決まっている。というか、やっぱり私は事故物件男を引き寄せるプロなのかしら? アルベール様と言い、面倒な男性に好かれやすい体質なのかしら? ……はぁ、今すぐにでもこの体質を捨てたいわ。出来れば、素敵な「普通」の男性との出逢いが、欲しい。