【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「ご、ごめんなさい、上手く呑み込めなくて……もう一度言って頂戴。誰が、誰のお見舞いに来るの……?」
「そんなの決まっているじゃないですか。婚約者のアルベール様が、お嬢様のお見舞いに来てくださるそうですよ。お見舞いの品を持ってきてくれた従者が、そう言っておりました。明日の午後、いらっしゃるそうです」

 侍女はそれだけを告げて、お部屋を出ていく。……アルベール様が、私のお見舞い? 普通だと、きっと喜ぶシチュエーションなのだろうな。でも、私は素直に喜べない。喜べるわけがない。だって――。

(いや、私、心労で殺されるの……?)

 そもそもな話、私が心労で倒れた原因の一部はアルベール様なのだ。その原因が襲撃してくる。……私、殺されるのね。うん。骨は拾って頂戴。そう思って、私は遠いとこを見つめていた。……あぁ、どうか嘘だと言って頂戴! ……無理か。
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