【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
(そう言えば、アルテュール様との一件があってから、周囲がいろいろと過保護になっていたわね)
アルテュール様に小屋に閉じ込められるという一件があって以来、私の周囲は異常なほど私に過保護になった。アルベール様と婚約した当初は、クールナン侯爵家のお屋敷で開かれる二人きりのお茶会さえ、両親に渋られていたくらいなのだ。でも、私はクールナン侯爵家と縁を繋ぐことが、私にできる唯一のことだと信じていた。だから、その二人きりのお茶会に参加していた。……どれだけ口数が少なくても、睨まれても。それでも、婚約を続けてきたのにはそう言う理由があったから。
……でも、まさかアルベール様が私のことを愛しすぎてああなっていたということは、予想外過ぎたけれど。
「アルベール様。私、行きたい場所を考えていてもいいですか? いろいろと、行ってみたい場所があるのです」
私が声を弾ませながらそう言うと、アルベール様は「もちろんどうぞ」とおっしゃってくださった。何処に行こうかな……。そう思ったら、心がワクワクとする。たとえこれがアルベール様とのデートだったとしても、街に出向けるのならばそんな些細なこと全然構わない。……両親には悪いけれど、私はこの過保護にされる生活にかなり嫌気がさしていたのだ。
「シュゼット嬢、可愛らしいですね。……抱きしめたいですよ。少しだけ、抱きしめてもいいですか?」
「……それは、その」
「大丈夫。勢いあまってキスとかしませんから……! ただ、抱きしめるだけで……!」
アルテュール様に小屋に閉じ込められるという一件があって以来、私の周囲は異常なほど私に過保護になった。アルベール様と婚約した当初は、クールナン侯爵家のお屋敷で開かれる二人きりのお茶会さえ、両親に渋られていたくらいなのだ。でも、私はクールナン侯爵家と縁を繋ぐことが、私にできる唯一のことだと信じていた。だから、その二人きりのお茶会に参加していた。……どれだけ口数が少なくても、睨まれても。それでも、婚約を続けてきたのにはそう言う理由があったから。
……でも、まさかアルベール様が私のことを愛しすぎてああなっていたということは、予想外過ぎたけれど。
「アルベール様。私、行きたい場所を考えていてもいいですか? いろいろと、行ってみたい場所があるのです」
私が声を弾ませながらそう言うと、アルベール様は「もちろんどうぞ」とおっしゃってくださった。何処に行こうかな……。そう思ったら、心がワクワクとする。たとえこれがアルベール様とのデートだったとしても、街に出向けるのならばそんな些細なこと全然構わない。……両親には悪いけれど、私はこの過保護にされる生活にかなり嫌気がさしていたのだ。
「シュゼット嬢、可愛らしいですね。……抱きしめたいですよ。少しだけ、抱きしめてもいいですか?」
「……それは、その」
「大丈夫。勢いあまってキスとかしませんから……! ただ、抱きしめるだけで……!」