【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
閑話5 アルベール(なり)の我慢
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「しゅ、しゅ、シュゼット嬢が高熱!?」
「えぇ、そうらしいのよ。まぁ、大方疲れが溜まったのでしょうね」
シュゼット嬢がカイレ子爵家の屋敷に戻った翌日。俺は母様からシュゼット嬢が高熱を出したということを聞かされた。……疲れが、溜まった。やはり、この間のテーリンゲン公爵家でのパーティーが原因、なのでしょうね。あぁ、どうして俺はあんな場所に連れて行ってしまったのでしょうか! 倒れてしまうし、その後熱まで出してしまうなんて……。俺がずっと側にいてあげたら……。
「……アルベール、突然立ち上がってどうしたの?」
「決まっているじゃないですか! シュゼット嬢のお見舞いです!」
勢いよく立ち上がり、俺はそんなことを言う。シュゼット嬢の無事を一刻も早く確かめたい。そう思って、俺は勢いよく部屋を飛び出そうとした。けど……母様に首根っこを掴まれて止められた。いや、どうして邪魔をするのですか!? そう言う意味を込めて母様を睨みつければ、母様は俺の頭を軽くはたいた。……父様にするときよりは手加減してくれているのでしょうが、それでもかなり痛かった。
「あんたみたいなうるさいのが居たら、余計に治らないわ。……お見舞いは明日まで待ちなさい」
「で、でも……!」
「お見舞いの品と手紙を用意して、従者に渡してきてもらいなさい。……今日は、そこまでよ」
母様はそう言って、従者に便箋を用意するようにと指示を出した。……手紙と、お見舞いの品。たったそれだけというのは、やはり無理です。俺が何としてでも駆けつけないと……!