【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「シュゼット嬢ー!」
「……どうしたのですか、急に甘えてこられて」
そんなことを考えていた時、ふとアルベール様が私の肩にぐりぐりと顔を押し付けてこられる。……これは、甘えているということなのよね? そう受け取って私が呆然としていれば、アルベール様は「甘やかしてください!」とおっしゃる。……アルベール様、ご自分がどんなことをおっしゃっているか、分かっていますか? 甘やかされる年齢はとっくの昔に過ぎていますよ。
「アルベール様、ご自分が何歳なのか分かっていらっしゃいますか? もう子供じゃないのですから……」
そう言って私がアルベール様を引きはがせば、アルベール様の表情が一気に悲しそうになられる。……うぅ、そう言う目に私は弱いのよ。そ、それに、これは婚約の解消には関係ないから大丈夫……って、ダメダメ。甘やかしたら調子に乗られるわ。
「シュゼット嬢、ね? 少しだけ……」
「無理無理無理! 絶対に無理ですってば!」
私が自分の顔の前でぶんぶんと手を振るのに、アルベール様はお構いなし。そもそも、甘やかすって何をするの? 頭を撫でればいいの? 手を握ればいいの? 何を求められているかが分からない以上、了承できませんよ!
「うぅ、少しだけ、少しだけ……!」
そんなつまらないことで攻防戦を続けること、約十分。私たちを正気に戻したのは、御者の「そろそろ街に着きますよ~!」という言葉だった。それを聞いて、アルベール様は「……そうですか」と悲しそうにおっしゃる。でも、私は素直に助かったと思っていた。……ふぅ、本当に助かったわ。
そして、それから五分後。町の入り口に馬車が止まった。
さぁ、これから――私とアルベール様の、初めての街デートが始まる。
「……どうしたのですか、急に甘えてこられて」
そんなことを考えていた時、ふとアルベール様が私の肩にぐりぐりと顔を押し付けてこられる。……これは、甘えているということなのよね? そう受け取って私が呆然としていれば、アルベール様は「甘やかしてください!」とおっしゃる。……アルベール様、ご自分がどんなことをおっしゃっているか、分かっていますか? 甘やかされる年齢はとっくの昔に過ぎていますよ。
「アルベール様、ご自分が何歳なのか分かっていらっしゃいますか? もう子供じゃないのですから……」
そう言って私がアルベール様を引きはがせば、アルベール様の表情が一気に悲しそうになられる。……うぅ、そう言う目に私は弱いのよ。そ、それに、これは婚約の解消には関係ないから大丈夫……って、ダメダメ。甘やかしたら調子に乗られるわ。
「シュゼット嬢、ね? 少しだけ……」
「無理無理無理! 絶対に無理ですってば!」
私が自分の顔の前でぶんぶんと手を振るのに、アルベール様はお構いなし。そもそも、甘やかすって何をするの? 頭を撫でればいいの? 手を握ればいいの? 何を求められているかが分からない以上、了承できませんよ!
「うぅ、少しだけ、少しだけ……!」
そんなつまらないことで攻防戦を続けること、約十分。私たちを正気に戻したのは、御者の「そろそろ街に着きますよ~!」という言葉だった。それを聞いて、アルベール様は「……そうですか」と悲しそうにおっしゃる。でも、私は素直に助かったと思っていた。……ふぅ、本当に助かったわ。
そして、それから五分後。町の入り口に馬車が止まった。
さぁ、これから――私とアルベール様の、初めての街デートが始まる。