【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
第24話 波乱の街デートの始まり
「シュゼット嬢は、何が食べたいですか? それとも、何が欲しいですか? あと、何か見たいものはありますか?」
「そうですねぇ……。ここら辺で評判だっていうレストランに、行ってみたい、です」
「分かりました! では、行きましょう! 場所はすでに調べてありますから!」
「ちょ、待ってください!」
アルベール様に腕を引かれて、私は街中を歩く。ちなみに、さすがに貴族の令息令嬢を放っておくことは出来ないらしく、後ろからこっそりと護衛の人がついて来ているそうだ。ちなみに、その護衛はクールナン侯爵家が雇っている人。……カイレ子爵家には、護衛なんて最低限の日雇いの人しかいないわよ。
「レストランで食事をしたら、次は劇でも見に行きましょうね! シュゼット嬢が前に見たいって言っていたの、席を取ったので!」
「……本当ですか?」
「はい、褒めてくれてもいいですよ! しかも、前の方です!」
そうおっしゃったアルベール様は、私に溢れんばかりの眩しい笑みを向けてこられて、私の手首を掴む手にぎゅっと力を入れられた。……多分、本当は手をつなぎたいのだと思う。ちなみに、恋人繋ぎという奴。でも、私がいろいろと文句を言ってしまったから、我慢してくださっているのだろう。そう言うところ、ちょっぴり見直したかもしれない。ちょっぴり、ほんのちょっぴりだけれどね!
「褒めるって……どうするのですか? 偉い偉いって言えばいいのですか?」
「頭を撫でてくれればいいですよ!」
「安上りですねぇ」