【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「言っては、いけないことでしたか? では、謝りますので――」
「い、いえ、違うのです。ただ……クールナン侯爵家は男家系で、女児が二百年生まれたことがなくて……」
「二百年、ですか?」
「はい。俺はシュゼット嬢に瓜二つな娘が欲しいと思っています。ですが、この血筋が……」
そうおっしゃったアルベール様は、さらに微妙な表情をされた。……しかし、二百年も女児が生まれていないのはかなりすごいわよね。でも、クールナン侯爵家には男家系という問題以上の問題がありそうな気が……。だって、アルベール様は一人っ子だし、現在のクールナン侯爵も一人っ子だったはず。アルベール様に寄れば、先代も二人兄弟だったというし、なんというか……。まぁ、貴族にしては子供の数が少ないのよね。
「子供の数が、少ないからでは?」
「それも、ありますよ。でも……クールナン侯爵家の男は俺みたいな奴ばかりらしくて……。その、妻を独り占めしたいがために、子供は最低限っていう考えの人が多くて。あ、でも俺はシュゼット嬢が望むのならば、何人でもいいですよ! ただ、出来れば俺のことも構っていただけると……」
「話が飛躍しすぎですね。どれだけ未来のことをおっしゃっているのですか」
私はそう言って何故かどんどん近づいてこられたアルベール様のお美しいお顔を、手でどける。すると、アルベール様は「うぅ、シュゼット嬢!」なんて悲しそうな声を上げられた。うん、なんだか罪悪感が湧くけれど、絆されはしないわ。これで絆されていたら、この先苦労するのが目に見えて分かるのだもの。
「うぅ、少しは俺への苦手意識、取れましたか?」
「……少しは見直しましたけれど、なんだかいろいろと別の意味で苦手意識が出ていますよ……。面倒な男性って、嫌われるのですよ?」
「わ、分かっています、よ。でも、この気持ちが抑えきれなくて……!」
うん、抑える努力をしてくださいな、まず。そう思うけれど、その気持ちを抑えようとして変な方向に爆発されても困るので、その言葉は言わなかった。……変に気を遣うのよねぇ。そう思いながら、私はアルベール様について歩くのだった。
「い、いえ、違うのです。ただ……クールナン侯爵家は男家系で、女児が二百年生まれたことがなくて……」
「二百年、ですか?」
「はい。俺はシュゼット嬢に瓜二つな娘が欲しいと思っています。ですが、この血筋が……」
そうおっしゃったアルベール様は、さらに微妙な表情をされた。……しかし、二百年も女児が生まれていないのはかなりすごいわよね。でも、クールナン侯爵家には男家系という問題以上の問題がありそうな気が……。だって、アルベール様は一人っ子だし、現在のクールナン侯爵も一人っ子だったはず。アルベール様に寄れば、先代も二人兄弟だったというし、なんというか……。まぁ、貴族にしては子供の数が少ないのよね。
「子供の数が、少ないからでは?」
「それも、ありますよ。でも……クールナン侯爵家の男は俺みたいな奴ばかりらしくて……。その、妻を独り占めしたいがために、子供は最低限っていう考えの人が多くて。あ、でも俺はシュゼット嬢が望むのならば、何人でもいいですよ! ただ、出来れば俺のことも構っていただけると……」
「話が飛躍しすぎですね。どれだけ未来のことをおっしゃっているのですか」
私はそう言って何故かどんどん近づいてこられたアルベール様のお美しいお顔を、手でどける。すると、アルベール様は「うぅ、シュゼット嬢!」なんて悲しそうな声を上げられた。うん、なんだか罪悪感が湧くけれど、絆されはしないわ。これで絆されていたら、この先苦労するのが目に見えて分かるのだもの。
「うぅ、少しは俺への苦手意識、取れましたか?」
「……少しは見直しましたけれど、なんだかいろいろと別の意味で苦手意識が出ていますよ……。面倒な男性って、嫌われるのですよ?」
「わ、分かっています、よ。でも、この気持ちが抑えきれなくて……!」
うん、抑える努力をしてくださいな、まず。そう思うけれど、その気持ちを抑えようとして変な方向に爆発されても困るので、その言葉は言わなかった。……変に気を遣うのよねぇ。そう思いながら、私はアルベール様について歩くのだった。