【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
第25話 ライバル登場……?

 ☆★☆

「シュゼット嬢、その……」
「何を不安になっていらっしゃるのですか? 私は面白かったですよ」
「……よかった」

 劇を見終え、私とアルベール様は近くのカフェでお茶をしていた。アルベール様が劇に心配を覚えた理由は、私にも一応わかる。だって、ちょっぴり際どいシーンもあったのだもの。でも、あれくらい刺激がある方が貴族には人気が出るのよね。自由に恋愛が出来ない分夢を見たいということで。……まぁ、私はアルテュール様に意地悪ばかりされた所為で、男性が苦手になってしまったのだけれど。その所為で、恋愛もくそもないと思っている。

「男性からすれば、ああいうのはお嫌いですか?」
「嫌いっていうか……その。会場が女性ばかりで、気後れすると言いますか……」
「まぁ、そうですよね……って、アルベール様ずっと私の顔ばかり見ていましたよね? 劇を観ていたのですか?」
「……微妙ですね」

 劇を観ている間、アルベール様は間違いなくずっと私の顔を見ていらっしゃった。だって、アルベール様に視線を向ければ必ずと言っていいほど、視線が交わったのだもの。そして、その後露骨に視線を逸らされるまでがワンパターン。そんなことがあること約十回。さすがに鈍い私でも、気が付く。

「……はぁ、私の顔って、そんなにも面白いですか?」
「はい、見ていて面白いですよ。俺が知らないシュゼット嬢を、知れるような気がして、いつまでも見ていられます」
「……そう、ですか」

 私は目の前のパンケーキに視線を向けながら、少し照れてしまった。って、こんなのキャラじゃないわよね。そう思って、私はブルーベリーのソースがたっぷりとかかったパンケーキを一口大に切り分けて、口に運ぶ。……美味しいけれど、甘いわ。
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