【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
「アルベール様、私のことがそんなにも好きなのですか?」

 ふと、好奇心からそう訊いてしまった。アルベール様が私に重すぎる愛情を注いでいることは、私にだって分かる。「好き」「大好き」「愛している」なんてお言葉、ここ最近聞いてばかりだ。でも、なんだかふと気になってしまうのだ。それは、本当なのかって。……軽々しく好意を伝えられると、安っぽく感じてしまうということなのだろうか。もしもそうだとしたら……女って、面倒な生き物ね。

「もちろん、好きですよ! シュゼット嬢以上に愛せる人はこの世に居ませんから! シュゼット嬢が俺のすべてです!」
「……大袈裟ですねぇ。でも、ありがとう、ございます」

 何故だろうか、今日に限って私は素直にお礼が言えていた。アルベール様のことを苦手だって思う気持ちは、まだ確かにあるのに。愛情が重すぎて、束縛だって酷そうだし、執着されまくりだけれど……それでも、悪くないって思う気持ちが少しずつ芽生えている。……はぁ、私ってこんな人間だっけ? なんだか、アルテュール様に再会してから弱くなっている気がするわ……。

「シュゼット嬢が俺の好意を受け止めてくれた! 今日はパーティーを開きたいです!」
「止めてください、迷惑です」

 だけど、こんなにもつまらないことでパーティーを開くのは勘弁願いたい。だから、私はアルベール様に心の底からの冷たい視線を向けた。……なのに、何故かアルベール様は楽しそうに笑っていらっしゃった。……どうして? 本当にどうして? マゾなの? そう思ったけれど、口には出さなかった。だって、ここは外だもの。
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