【完結】素っ気ない婚約者に婚約の解消をお願いしたら、重すぎる愛情を注がれるようになりました
第28話 覚悟を決めて

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「おかえりなさいませ、お嬢様」
「……ただいま、エスメー」

 アルベール様とのお出掛けを終え、お屋敷に戻ってきた私は一目散に自室に戻った。その後、自室の掃除をしてくれていたエスメーに声をかけて、余所行きのワンピースのまま寝台に寝転がる。後ろからエスメーのお小言が聞こえてきたけれど、そんなの無視だ。ただ、目元を手で押さえながらいろいろなことを考える。……ちなみに、うちではメイドの数が多くないので、侍女もメイド業をしているのが現状だった。

「お嬢様、何かお悩みでもあるのですか?」
「……えぇ、まぁ」

 エスメーの心配そうな言葉に、悪いなぁとは思いながらも適当に言葉を返す。……正直、私は自分でも予想外だったのだ。リーセロット様に嫉妬してしまったことが。それってまるで……私がアルベール様を好いているみたいじゃない。今になって、その嫉妬の意味を脳内がしっかりと理解する。……バカみたい。私、アルベール様に苦手意識を持っていたはずなのに。

「こんなにも簡単に意見をひっくり返すなんて、私はなんて軽い女なのかしら……」

 小さくそう呟いて、私はため息をついた。嫌だ。軽い女になんてなりたくない。そう思うのに、私の脳は理解をしてくれない。いや、これは脳じゃない。理解をしてくれないのは心だ。……私の気持ちを、全く理解してくれない。

(それに、まだアルテュール様のこともお話していないわ。……もうそろそろお話しなくちゃ、お話したいって思う)
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