浮気について彼女が考えたこと
「不倫とか浮気って、そんなにダメかなあ?」
 私の言葉に、親友は飲んでいたコーヒーを吹きそうになった。

 土曜日、一緒に買い物をして休憩にカフェにいるときのことだった。
「急になにを言うのよ。ダメに決まってるだろじゃない」
 けほけほと咳き込みながら、彼女は言う。

「ダメなのはわかってるよ。言いたいのはそうじゃなくて」
 私は親友が落ち着くのを待ってから続きを言った。

「いつも思うんだけどさ。不倫とか浮気が嫌だっていう人をパートナーにするからもめるんであって、OKだよって言う人と結婚して、浮気相手もちゃんと、二番目でいいって言う人ならもめることないよね」

「うーん、そうかな」
 親友は首をかしげる。

「文句を言う人がいなくなるよね?」
「それは、そうかもだけど」

「私はただ浮気がOKって言ってるんじゃなくて、ちゃんと許可をとれ、ってことなの」
「独占欲があるから、なかなかムリじゃない?」

「そこをうまくできないなら浮気も不倫もしなきゃいいのに。技量がないのに不倫するからダメなのよね」
「その理論にうなずく人は少ないと思うよ」

「やぱりそうかあ」
 私は残念に思いながらジュースを口にした。

「浮気のスリルが楽しいって言う人もいるから、そういう人は絶対に了承をとるなんてしないよね」
「最初にちょっと確認するだけでトラブルを回避できると思うんだけどなあ」
 うーん、と私はうなった。
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