浮気について彼女が考えたこと



 夕方、親友と別れた私は、そのまま夜の街に向かう。

 待ち合わせをしていた。
 男は私を見つけると破顔した。

 この男には恋人がいる。それでもいいから付き合いたいと私は言ったのだ。相手にも承諾を得てね、と言ったところ、OKだったらしい。

 ただセックスかしたいならセフレでいいのかもしれない。
 でも、私は恋人がほしいのだ。甘いときめき。同じシチュエーションでも他の人なら違う反応がある。その差が楽しい。

 だけどほかの人には言ってない。倫理観が崩壊していると思われると面倒だから。親友ですら反応が微妙だったのだから、やはり言わなくて正解だ。

 男と一緒にホテルに入ろうとしたときだった。
「やっぱり浮気してたのね!」
 女の声がした。
 私は驚いて男を見た。

「恋人?」
「……うん」
 男は顔を青ざめさせた。

「彼女のOKはもらってるって言ってたのに、嘘だったのね」
 男は目をそらした。

「あんた、許さないから!」
 女がキーキー喚いて私を殴ろうとするが、私はさっと避ける。

「約束が違う。別れるから」
 私は怒って彼に言う。こういうずるい人がいるから、ダメなんだ。

「待って、この女とは別れるから!」
 彼は私にすがる。

「なに言ってるのよ!」
 女性が怒る。

「もう私には関係ないわ。約束を守れない人は嫌いなの」
 そのとき、私のスマホが鳴った。
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