私と彼の溺愛練習帳 番外編
 夕食後、ソファに座ってたわいもない話をするのが習慣になっていた。

 その日も並んで座って話をして、ふと、閃理が言った。
「子供って、どれくらいの時期にほしい?」

 閃理に聞かれ、雪音は戸惑った。
 具体的に考えたことはなかった。

「正直、わからない。結婚も実感なくて……」
 プロポーズされて一緒に暮らし始めたが、結婚式をすることだけが決まり、あとはなにもかもが未定だ。

「式の前にできちゃうのは困るよね。二人だけの時間も欲しいけど女性のライフサイクルも考えるべきだし、女性に負担のかかることだから雪音さんの希望を優先させたい」

「そ、そんなの、自然に任せたらいいんじゃないの?」
 雪音は動揺してそう答える。

 瞬間、閃理の目がきらっと光った。
「自然に任せてたら、きっとすぐにできちゃうよ?」

「え?」
「僕がどれだけ雪音さんを愛してるか、まだ実感できてないみたいだね。今夜、たっぷり教えてあげる」

「な、なに言ってるのよ」
「動揺してる。かわいい」
 赤くなっている雪音の頬に、閃理は手を伸ばす。

「からかわないでったら」
「本心だから。今すぐ教えてあげてもいいんだけど」

「遠慮します!」
 雪音は閃理の手から逃れるようにリビングを出ていく。

「予告はしたからね」
 うしろ姿に声をかける。

「知らない!」
 振り返りもせずに答える雪音に、閃理はふんわりと笑った。




私と彼のライフプラン・終
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