私と彼の溺愛練習帳 番外編
 とある休日、美和は雪音を誘って買い物に出た。
 街は人に溢れ、みなが明るく行き交っている。

 美和は雪音とファッションビルを見て回った。
 雪音は自分より年上なのにショッピングに慣れてないようで、意外だった。

 だけど決して不快ではない。常に美和を気遣ってくれるのは仕事のときと同じで、ほっと安らぐ。

 こんないい人なんだもの。いい人と結ばれて良かった。

 ビルを出ると空が明るくて一瞬目がくらんだ。

「あれ? 雪音さん」
「閃理さん!」
 聞いたことのある声に、弾むような雪音の声が答えた。

 彼氏さんだ、と美和は美しい彼を見た。今は婚約者さんか。

 その隣には、見たことのない男性がいた。彼と同じ年くらいで、茶色のつんつんした頭をしていた。

「僕たち、仕事の打ち合わせの帰りなんだ」
「お疲れ様」
「お疲れ様です」
 閃理の説明に、雪音と美和が言った。

「ありがとう。平田さん、雪音がいつもお世話になって」
「どういたしまして」
 美和はにっこり笑って答えた。
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