私と彼の溺愛練習帳 番外編
「お礼にカフェオレ一本分、話を聞いてあげます。お酒じゃないから安心でしょ」
 惣太はまた苦笑した。
 近くのベンチに二人で座り、缶をパキっと開けた。
 惣太はぽつぽつと語った。

***

 雪音とつきあっていたとき、彼女が心を許してくれていないようで、焦りがあった。待つとは言ったものの、やはり雪音と愛を深めたい気持ちがあった。

 そんなとき、雪音の従妹の愛鈴咲に強引に呼び出された。雪音に関わる大事なことだと言われて、無視することができなかった。

 いつまでも本題に入らない彼女にいらいらした。いつも雪音をいじめているらしい女と一緒にいる自分にもいらいらして、酒を何杯も煽った。

 そうして、気が付けば飲み過ぎていた。

 寝ちゃダメよ、と起こされて、目の前にいるのが雪音だと思った。
 抱き着くと、こんなところじゃダメ。ホテルに行きましょう、と言われた。

 雪音がとうとう自分に心を許してくれた。
 彼女と一つになれる、と喜びに高揚した。

 シャワー浴びて来るわね。
 ホテルに着いてから雪音がそう言い、惣太はベッドに横になった。

 気が付くと、夜が明けていた。

「おはよう」
 隣で声をかける女に驚き、惣太は飛び起きた。
 雪音じゃない。どうしてこの女が。
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