私と彼の溺愛練習帳 番外編
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「さっき聞こえて来た女性の話で、キスマークが偽装できると知った。やっぱり偽装だったんだろう。そうやって俺とやったと思わせたんだ」
「罠にはまったんですね。でも、最初からやってないと思ってたんですよね。先輩には言ったんですか?」
「言ってないよ。言うわけない」
「私だったら言っちゃうなあ。やってない、お前だと思ったんだ、だから浮気じゃない。……うん、最低の言い訳ですね」
自分で言って、美和は納得したようにうなずく。
惣太は苦笑した。
「今からでも弁解します?」
「彼女は今、幸せそうだ。水をさす必要もない」
「そうですね。……メーカーさん、不器用ですね」
「たとえはめられたのだとしても、酒を飲み過ぎて前後不覚になったのは自分の責任だ」
ふうん、と美和はカフェオレを飲んだ。
「今度、良い人紹介してあげますよ」
「遠慮しておく。女性は凝りた」
「え、男性に走るんですか?」
「そういう意味じゃない」
惣太は苦笑した。