私と彼の溺愛練習帳 番外編
「おおげさね」
「僕は雪音さんじゃなくちゃ嫌だ」

 そう言って閃理は雪音のコップを取り上げてテーブルに置き、彼女を抱きしめる。雪音は困惑しながらもその背に手を伸ばした。

「閃理さんって、こんなに嫉妬深かったの?」
「僕も最近……というか、雪音さんと付き合ってから知った」
 雪音はくすぐったい気持ちになって、だけどなんだかうれしくて口元が緩んでしまう。

「私も……あなたが女性と仲良くなったら嫉妬しちゃうわ」
「ほんとに? うれしい」
 閃理はふんわりと笑って雪音の額に口づける。そのまま雪音をゆっくりと押し倒す。

「え、ちょ、なに?」
「……ダメ?」
 ねだるように言われて、雪音は顔を赤くした。

「まだ昼間よ」
「時間なんて関係ないよ」

「だ、だけど」
「夜だとあなたを寝かせられなくなっちゃう」

「なに言ってるの!」
 雪音が両手で顔を覆って抗議する。
 閃理はくすくすと笑って、その手にキスをする。

「ベッドに強制連行しちゃおうかな」
「……もう!」
 雪音は怒ってみせた。が、閃理はかまわず雪音の額に、頬に、首筋に、キスの雨を降らす。

「愛してるよ」
 耳元でささやかれ、雪音は陥落した。
 雪音はベッドに運ばれて、甘い愛を注がれるのだった。



私と彼の嫉妬・終
< 8 / 23 >

この作品をシェア

pagetop