別れさせ屋は恋愛不信な彼女との運命の愛を離さない
 だから恋愛なんて嫌なんだ。
 一時的には楽しいが、最終的には傷付く結果にしかならない。
 とにかく仕事に集中しよう。
 冬和は資料作成に没頭した。



 定時になり、冬和は仕事にキリをつけた。
 今日はもう帰ろう。
 そう思ったときだった。

「百合宮さーん」
 杏奈が声をかけてきた。
「この書類なんですけど」
 嫌な予感がした。
「ここ、わからなくって」
 仕方なく書類を受け取る。ざっと目を通して驚いた。間違いだらけだ。

「全体的に直さないとダメね」
「そんなあ」
「いつまでの書類?」
「明日までです」
「明日!?」
 間違いを教えて修正させて、間に合うだろうか。自分がやったほうが確実に早い。

「昨日、送ってくれって言われてたやつです。確認のために印刷したんですけど……」
「どうしてもっと早く言ってくれなかったの?」
「自分でがんばろうと思ってぇ」
 おそらく、昼間に聞こえた会話のそれがこれだったのだ。
 そうして気が付く。
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