別れさせ屋は恋愛不信な彼女との運命の愛を離さない
「ふうん」
「なにをって聞いてくれないの?」
「なにを探してるの?」
「それがわからないから続けてる。一緒に探してくれる?」
 ふざけた答えに、冬和はあきれた。

「お断りするわ」
「残念」
 笑いながら久遠は言った。

「あなたってなんでもできるタイプの人?」
「……そうかも。勉強は簡単だったし、スポーツもある程度はうまくできちゃう。だからかな、熱中できるものは見つからなかった。女は勝手に寄ってくるし」

「小さい世界で生きてるのね」
「それは失礼じゃない?」
「ごめん。世界のほうが狭かったのね。そういう人は海外に行くといいわ」
 どうでもいいことのように、冬和は言う。

「オレがいなくなってもいいの?」
「どうして?」
 心底不思議そうに聞き返され、久遠は口を尖らせた。

「寂しがってくれないんだ」
「私に関係なく、行きたいと思ったら行くでしょ?」
「それはそうだけど」
 久遠は苦笑した。

「海外って、どこがいいかなあ?」
「アメリカとか? インドに行くと世界観が変わるって聞くけど、とにかく外国じゃない?」
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