別れさせ屋は恋愛不信な彼女との運命の愛を離さない
 このあとの予定はなにもない。ちょうど、このまま帰る気分にはなれなかったところだ。
「いいわよ」
 久遠は驚いた。
「気が変わらないうちに行こう! 好きそうな喫茶店を見つけたから」
 彼はすぐにタクシーを止め、彼女とともにのりこんだ。



 着いた先はカントリー調の外観の喫茶店だった。
 内装も落ち着いていて店内は静かだ。クラシックが穏やかに流れている。
「いい雰囲気」
「でしょ?」
 得意げに彼は言う。

 席についてメニューを見ると、軽食もあった。
 二人はアイスコーヒーとサンドイッチプレートを頼んだ。ウィンナーとポテトサラダがついていて、充分にお腹を満たせそうだった。

「なんか嫌なことあったでしょ」
 言われて、冬和は眉を上げた。
「顔に出てる?」
「うん」
 冬和はため息をついた。

「仕事でちょっとね」
「やめちゃえば」
「御曹司と違って仕事をやめるわけにはいかないの。生活かかってるんだから」
「大変だね」
 他人事のように久遠は言う。
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