別れさせ屋は恋愛不信な彼女との運命の愛を離さない
3 探し物
翌日も会社の空気は気まずかったが、前より平気になった気がした。
仕事を終えて外に出ると、自然と久遠を探した。
いない、と気づいて苦笑する。
いつの間にか、彼が待っているのが当然のように思っていたようだ。
冬和は喫茶店に向かった。人を拒絶するような入口の『LONELINESS』へ。
これからはここを定番にしようかな。
思いながらコーヒーを頼み、本を開く。
しばらくして一組のカップルが入って来た。
久遠だった。年上の女性と連れ立って、冬和の隣の席に座った。
失敗した。
冬和は届いたアイスコーヒーにミルクを入れてかきまぜた。
彼に紹介された店だから彼が来て当然だ。仕事で使っているのだろう。
気もそぞろになってしまい、本に集中できなくなった。
隣では、彼の口説き文句に女性は上機嫌だ。
冬和はあきらめてコーヒーを飲み干した。
会計をして外に出る。
空はどんよりと曇っていて、冬和は大きくため息をついた。
***
「オレ、見つけたかもしれない」
狭い事務所の中で、久遠は麗美に言った。
「そう」
麗美はパソコンを打つ手を止めずに答えた。