別れさせ屋は恋愛不信な彼女との運命の愛を離さない
「なにをって聞いてくれないの?」
「聞く必要ある?」
「そういう人だったよね」
 久遠は苦笑して続けた。

「正確には、なにを探すべきかわかった、かな? 違うな。なにを探すのか探す前に探し物が見つかった感じ?」
「自分でもわかってないじゃない」
「うん」
 ソファに斜めに寝そべり、久遠は答える。

「ターゲットと喫茶店に行ったら、あのときのお姉さんがいてさ。仕事に集中できなかった」
「失敗したの?」
「ちゃんと進行中だよ」
「それならいいわ」
 麗美は手を止め、作成した文章を確認するために画面をのぞき込む。

「そういえば、どっかにいい物件ない?」
 麗美は驚きに顔を上げた。
「一人暮らしをするの?」
「そういうことになるかな」

「どういう風の吹き回し?」
 麗美は知っている。彼は女のところを転々としていた。本人は自覚がないようだが、寂しがりなのだ。だが、束縛を嫌う。だから束縛を感じた瞬間、女とは別れる。そもそもつきあってもないことがままある。

「心境の変化なんて誰にでもあるし」
「そうね」
 麗美はまたパソコンを打ち始める。
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