別れさせ屋は恋愛不信な彼女との運命の愛を離さない



 朝からさんざんだ。
 出勤直後、給湯室に行ってコーヒーを淹れた。
 ポーションミルクを入れて、一口飲む。
 熱くて苦かった。今の気分なら砂糖を入れるべきだった。
 スティックシュガーに手を伸ばしたときだった。

「おはよう」
 給湯室に浩之が入って来た。
「おはよう」
 答えて砂糖を手に取り、コーヒーに入れる。6グラム入りを全部入れてしまった。まあいいか。今は糖分をとりたい気分だ。そう思ってスプーンでかきまぜる。

「君が若い男といるのを見た。恋人か?」
 驚いて浩之を見た。
 彼は悔しそうに冬和を見ている。

 どの口が言うのか、とあきれて冬和は黙った。
 自分は新しい女を作ってからふったくせに。別れた女が恋人を作ると不機嫌になるとか、どういう神経をしているのか。

「あなたに関係ないでしょ」
 肯定も否定もやめた。不快なら、ちょっとはそれを継続させてやりたかった。
 コーヒーを持って給湯室を出ようとしたときだった。

「待てよ」
 片手をとられ、引き留められた。
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