別れさせ屋は恋愛不信な彼女との運命の愛を離さない
「君は男に逃げるタイプじゃないよな」
わかっているのに、難癖をつけるのか。
思ううちに、抱きしめられた。コーヒーを持っているから、こぼすのが嫌でふりほどけない。
「寂しいときは呼んで。そばにいてあげるから」
背筋がぞわっとした。
「二股の相手になれって?」
「下世話なこと言うなよ。君をわかってあげられるのは俺くらいだろ」
「気持ちわる。離して」
「嫌だ」
「離さないと大声出すから」
「出してみろよ」
冬和は歯噛みした。冬和が目立つことを嫌がるとわかっていてそう言うのだ。
「離してったら」
いっそコーヒーをぶっかけてやろうか。だが、それだと自分もコーヒーをかぶってしまう。
「浩之さーん」
甘ったるい声とともに杏奈が現れた。
「なにしてるのよ!」
浩之に抱きつかれる冬和を見て、杏奈は大声を上げた。
「いや、これは」
浩之はすぐに手を離した。
冬和はその隙に給湯室から逃げ出した。
なんて間の悪い。これでまた悪く言われるだろうか。まったくさんざんだ。
席についた冬和は、災厄から逃げきれなかった。
「ひどいです!」
ぼろぼろと涙をこぼしながら、追い掛けてきた杏奈が言う。
わかっているのに、難癖をつけるのか。
思ううちに、抱きしめられた。コーヒーを持っているから、こぼすのが嫌でふりほどけない。
「寂しいときは呼んで。そばにいてあげるから」
背筋がぞわっとした。
「二股の相手になれって?」
「下世話なこと言うなよ。君をわかってあげられるのは俺くらいだろ」
「気持ちわる。離して」
「嫌だ」
「離さないと大声出すから」
「出してみろよ」
冬和は歯噛みした。冬和が目立つことを嫌がるとわかっていてそう言うのだ。
「離してったら」
いっそコーヒーをぶっかけてやろうか。だが、それだと自分もコーヒーをかぶってしまう。
「浩之さーん」
甘ったるい声とともに杏奈が現れた。
「なにしてるのよ!」
浩之に抱きつかれる冬和を見て、杏奈は大声を上げた。
「いや、これは」
浩之はすぐに手を離した。
冬和はその隙に給湯室から逃げ出した。
なんて間の悪い。これでまた悪く言われるだろうか。まったくさんざんだ。
席についた冬和は、災厄から逃げきれなかった。
「ひどいです!」
ぼろぼろと涙をこぼしながら、追い掛けてきた杏奈が言う。