別れさせ屋は恋愛不信な彼女との運命の愛を離さない
「少しは懲りた? 痛い目を見て勉強になったでしょ」
「冷たいなあ」
 冬和の言葉に、久遠は苦笑する。

「泣いてすがって、無事で良かったってやったほうがいい?」
「う……ん、それは嫌かも」
「でしょ?」
 冬和はまた苦笑する。

「だけど、心配したのよ。入院するほどなんでしょう?」
「入院っていうかさ、眠いって言ったら女医さんと看護師さんが休んでけばって言ってくれて、お言葉に甘えたんだ。ついでにあなたに電話をしてもらった。仕事中は迷惑かと思って夕方にしてもらったよ」

 どういう状態だ、と冬和は頭を抱えたくなった。どうせ久遠が余計なこと……口説くようなことを言ったせいに違いない。

「もう帰るよ。あなたが来てくれたから」
「普通は家族に来てもらうものでしょう?」
「連絡したよ。すねかじりだから。だけど一番に来てくれたのがあなただった」

 冬和は息をついて、すこし首を傾けた。
「なにも言わなくていいよ」
 先を制して、久遠は言う。

 ケガをしてない方の手を差し出され、冬和はその手を握る。
 ぐいっとひっぱられてベッドに引き倒された。
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