夜の魔王と呼ばれる男、実は過保護で激甘でした
2人だけの時間
鎌倉の大仏を観て感動してから、お土産屋さんを観て回る。
週末と言う事もあり、観光客が歩道狭しと歩いているから、翔は少しの心配を胸に、由亜を見失わない様にと見守りながら後を着いて歩く。
そんな翔の気持ちなど知る由もなく、由亜は赴くままに、目に留まる全てに興味を示し、あっちの店へこっちの店へと歩き回っている。
「翔さん、この鳩のマーク見た事あります。」
由亜が嬉しそうに指差して翔に教えて来る。
「鎌倉で1番有名なお菓子だよな。カフェになってるから、ちょっと休憩して行こう。」
由亜が歩き疲れていないかと心配だった翔は、ここぞとばかりに背中を押して店内に入る。
人混みの店内だから、由亜が足でも踏まれたら大変だと、ここは背に守りながら先を行く。
2階への階段は後ろから支えながらゆっくりと登るから、由亜はここでやっと翔に守られて歩いていた事に気が付いた。
「さすが、No.1ですね。」
由亜がすかさず褒めるようにそう言うと、
「なんの事だ?」
と、翔は首を傾げる。
「翔さんといると、お姫様になった気分です。」
ハハッと翔が声を出して笑う。
「それはそうだろ。大事な姫が階段踏み外して転がり落ちたら大変だからな。」
そう言って、由亜の肩に手を置いて支えてくれる。
「これはきっと、翔さんと一緒に歩いた人はみんな、勘違いしてしまいますね。」
ふふっと由亜が面白そうに笑う。
「こんな事するのは由亜だけに決まってるだろ。客1人1人にしてたら俺の身が持たない。」
翔が渋い顔をしてそう言う。
「気を、遣ってくれてるんですか?」
「それも違うな。強いて言えば心配だからだ。」
2人、そんな話をしながら階段の上に辿り着く。
入口には数人の客がいて、スタッフが予約リストを手渡して来る。翔がペンを取り『真壁』と記入するのを見て、由亜は今更ながら驚く。
「翔さんて…左利きなんですね。」
「そんな事も知らなかったのか…。どんだけ俺に興味が無いんだ。」
翔は落胆して、ため息を落とす。
「まぁ、いい。これから少しは興味を向けてくれ。」
翔に言われて、由亜は素直にこくんと頷く。
ポンポンと頭を撫ぜられて、やっぱり子共扱いされてると、少し不服そうだ。
そんな由亜がふと、窓ガラスに映る2人を見る。
周りからはどう映っているのだろうか…
恋人同士?それとも兄妹?釣り合って見えてるのかなぁ…。
「結構歩いたから疲れたか?俺に寄りかかっていいぞ。」
急に元気が無くなった由亜を心配して、翔が顔を覗いてくる。
寄りかかる⁉︎
そんな恐れ多い事できる訳がない。と、由亜は頭を横に振る。
「俺に遠慮しなくていい。お前はもっと誰かに甘えるべきだ。それが俺だったら嬉しいが。」
そう言って、由亜の肩を引き寄せ支えてくれる。
今まで…そんな事を言ってくれる人はいなかった…と由亜は思う。
1人で足を踏ん張って立っていなければ、生きていけなかったから…。
触れられている肩が熱い。
ドキドキが止まらなくて、真っ赤になって俯いてしまう。
「そういう顔されると…俺だって移るから…やめてくれ。」
翔も照れたようにそっぽを向く。
側から見たら初々しいカップで、お似合いの2人だと、ここで席を待つ誰もがチラチラと垣間見ては、密かに騒ついていた。
週末と言う事もあり、観光客が歩道狭しと歩いているから、翔は少しの心配を胸に、由亜を見失わない様にと見守りながら後を着いて歩く。
そんな翔の気持ちなど知る由もなく、由亜は赴くままに、目に留まる全てに興味を示し、あっちの店へこっちの店へと歩き回っている。
「翔さん、この鳩のマーク見た事あります。」
由亜が嬉しそうに指差して翔に教えて来る。
「鎌倉で1番有名なお菓子だよな。カフェになってるから、ちょっと休憩して行こう。」
由亜が歩き疲れていないかと心配だった翔は、ここぞとばかりに背中を押して店内に入る。
人混みの店内だから、由亜が足でも踏まれたら大変だと、ここは背に守りながら先を行く。
2階への階段は後ろから支えながらゆっくりと登るから、由亜はここでやっと翔に守られて歩いていた事に気が付いた。
「さすが、No.1ですね。」
由亜がすかさず褒めるようにそう言うと、
「なんの事だ?」
と、翔は首を傾げる。
「翔さんといると、お姫様になった気分です。」
ハハッと翔が声を出して笑う。
「それはそうだろ。大事な姫が階段踏み外して転がり落ちたら大変だからな。」
そう言って、由亜の肩に手を置いて支えてくれる。
「これはきっと、翔さんと一緒に歩いた人はみんな、勘違いしてしまいますね。」
ふふっと由亜が面白そうに笑う。
「こんな事するのは由亜だけに決まってるだろ。客1人1人にしてたら俺の身が持たない。」
翔が渋い顔をしてそう言う。
「気を、遣ってくれてるんですか?」
「それも違うな。強いて言えば心配だからだ。」
2人、そんな話をしながら階段の上に辿り着く。
入口には数人の客がいて、スタッフが予約リストを手渡して来る。翔がペンを取り『真壁』と記入するのを見て、由亜は今更ながら驚く。
「翔さんて…左利きなんですね。」
「そんな事も知らなかったのか…。どんだけ俺に興味が無いんだ。」
翔は落胆して、ため息を落とす。
「まぁ、いい。これから少しは興味を向けてくれ。」
翔に言われて、由亜は素直にこくんと頷く。
ポンポンと頭を撫ぜられて、やっぱり子共扱いされてると、少し不服そうだ。
そんな由亜がふと、窓ガラスに映る2人を見る。
周りからはどう映っているのだろうか…
恋人同士?それとも兄妹?釣り合って見えてるのかなぁ…。
「結構歩いたから疲れたか?俺に寄りかかっていいぞ。」
急に元気が無くなった由亜を心配して、翔が顔を覗いてくる。
寄りかかる⁉︎
そんな恐れ多い事できる訳がない。と、由亜は頭を横に振る。
「俺に遠慮しなくていい。お前はもっと誰かに甘えるべきだ。それが俺だったら嬉しいが。」
そう言って、由亜の肩を引き寄せ支えてくれる。
今まで…そんな事を言ってくれる人はいなかった…と由亜は思う。
1人で足を踏ん張って立っていなければ、生きていけなかったから…。
触れられている肩が熱い。
ドキドキが止まらなくて、真っ赤になって俯いてしまう。
「そういう顔されると…俺だって移るから…やめてくれ。」
翔も照れたようにそっぽを向く。
側から見たら初々しいカップで、お似合いの2人だと、ここで席を待つ誰もがチラチラと垣間見ては、密かに騒ついていた。