夜の魔王と呼ばれる男、実は過保護で激甘でした
部屋に入って直ぐに風呂場に直行して、傷だらけの足をシャワーで洗う。
「しょ、翔さん、自分でやりますから…。」
由亜は恥ずかしがって、慌てて俺の手を止めようとする。
強引に捲し上げたスカートから覗く、色白な華奢な足は確かに唆るが…。
今は怪我の手当が先だと、頭を振って邪念を無理矢理思考から追い出す。
「身体が冷えてるから、このまま風呂に入った方が良い。」
俺の提案に戸惑う由亜の制止を振り切って、強引に服を脱がそうと試みるが、さすがに抵抗されて、これ以上は嫌われそうだと、仕方なく風呂場から追い出されるように廊下に出る。
その場でしばし立ち尽くす。
ここでやっと由亜が手元にいる事を実感し、とてつもない安堵感に力が抜ける。
ズルズルと廊下にしゃがみ込み、本当に良かったと天を仰ぐ。
そうしているうちに、段々と気持ちが落ち着いてくる。すると、今度は自分の身なりにも目が向くようになる。
いつの間にかネクタイはゆるゆるで、シャツも半分以上ズボンからはみ出していた。
これは店の客にでも見られたら、一気に客足が遠ざかるな。そう1人で思い苦笑いする。こんなに我を忘れて必死になった事なんて、今まであっただろうか…。
はぁーとひと息吐いて立ち上がり、寝室へ行きクローゼットの中から適当な部屋着に着替える。
そういえば由亜の着替えも欲しいなと思い立ち、フロントに連絡して、下着と泊まりに必要なもの一式をお願いする。ついでに温かな食事もお願いする。
とりあえず頼んだ一式が届くまで、俺の服でも着させておこうと、再び寝室に戻り今度は慎重に服を選ぶ。
ここは定番の白シャツ短パンか?
いやいや…冬の寒さの中であれだけ震えていたんだ。俺の願望よりも、まずは由亜の体調が大切だと邪念を吹き飛ばす。
しかし、男のロマンと言うべきか…
ここは譲れないとばかり、真剣に吟味してしまう無様な俺は、結局無難な紺の長袖パジャマを洗面所に置いておく事にした。
後は…ベッドカバーを変えて、温かい飲み物でも用意して…。
さっきまで、あんなにも奈落の底に突き落とされたような気分だったのに、何を俺は浮かれているんだ?と、自分が滑稽に思えてくる。
ああ、そう言えば、由亜の手紙…スーツの内ポケットの中だ。
さっき由亜と共に洗面所に運んだ筈、雑に置いてしまったが大丈夫だっただろうかと、急に心配になって来て、廊下に出て洗面所の前で立ち止まる。
今、タイミング的に着替えでもしていたら…
これは一生嫌われる案件だと、ドアノブに手をかけたまま制止する。
すると。ガチャッと、ノブが内側から回りそっと由亜が顔を出す。
「わっ!?」
と、タイミング悪く近くにいた俺に驚いて、危うく壁に後頭部をぶつけてしまうとこだった。
間一髪で隙間に手をスライドさせて、由亜の頭をなんとか守る。
「大丈夫だったか?」
由亜の後頭部をそっと撫ぜ、無事で良かったとホッとする。
「お風呂…ありがとうございました。…手、大丈夫でしたか?」
少し落ち着きを取り戻した由亜は、いつだって自分の事を後回しにしてしまう。だから俺はそんな由亜を過保護に構いたくなってしまうんだ。
「俺の事は気にしなくていい。それよりも傷の手当が先だ。」
そっと抱き上げ、リビングにあるソファの上にそっとおろす。
予め用意しておいた救急箱を開き、ピンセットと脱脂綿を使いそっと足の裏の消毒をする。
「しょ、翔さん、自分でやりますから…。」
由亜は恥ずかしがって、慌てて俺の手を止めようとする。
強引に捲し上げたスカートから覗く、色白な華奢な足は確かに唆るが…。
今は怪我の手当が先だと、頭を振って邪念を無理矢理思考から追い出す。
「身体が冷えてるから、このまま風呂に入った方が良い。」
俺の提案に戸惑う由亜の制止を振り切って、強引に服を脱がそうと試みるが、さすがに抵抗されて、これ以上は嫌われそうだと、仕方なく風呂場から追い出されるように廊下に出る。
その場でしばし立ち尽くす。
ここでやっと由亜が手元にいる事を実感し、とてつもない安堵感に力が抜ける。
ズルズルと廊下にしゃがみ込み、本当に良かったと天を仰ぐ。
そうしているうちに、段々と気持ちが落ち着いてくる。すると、今度は自分の身なりにも目が向くようになる。
いつの間にかネクタイはゆるゆるで、シャツも半分以上ズボンからはみ出していた。
これは店の客にでも見られたら、一気に客足が遠ざかるな。そう1人で思い苦笑いする。こんなに我を忘れて必死になった事なんて、今まであっただろうか…。
はぁーとひと息吐いて立ち上がり、寝室へ行きクローゼットの中から適当な部屋着に着替える。
そういえば由亜の着替えも欲しいなと思い立ち、フロントに連絡して、下着と泊まりに必要なもの一式をお願いする。ついでに温かな食事もお願いする。
とりあえず頼んだ一式が届くまで、俺の服でも着させておこうと、再び寝室に戻り今度は慎重に服を選ぶ。
ここは定番の白シャツ短パンか?
いやいや…冬の寒さの中であれだけ震えていたんだ。俺の願望よりも、まずは由亜の体調が大切だと邪念を吹き飛ばす。
しかし、男のロマンと言うべきか…
ここは譲れないとばかり、真剣に吟味してしまう無様な俺は、結局無難な紺の長袖パジャマを洗面所に置いておく事にした。
後は…ベッドカバーを変えて、温かい飲み物でも用意して…。
さっきまで、あんなにも奈落の底に突き落とされたような気分だったのに、何を俺は浮かれているんだ?と、自分が滑稽に思えてくる。
ああ、そう言えば、由亜の手紙…スーツの内ポケットの中だ。
さっき由亜と共に洗面所に運んだ筈、雑に置いてしまったが大丈夫だっただろうかと、急に心配になって来て、廊下に出て洗面所の前で立ち止まる。
今、タイミング的に着替えでもしていたら…
これは一生嫌われる案件だと、ドアノブに手をかけたまま制止する。
すると。ガチャッと、ノブが内側から回りそっと由亜が顔を出す。
「わっ!?」
と、タイミング悪く近くにいた俺に驚いて、危うく壁に後頭部をぶつけてしまうとこだった。
間一髪で隙間に手をスライドさせて、由亜の頭をなんとか守る。
「大丈夫だったか?」
由亜の後頭部をそっと撫ぜ、無事で良かったとホッとする。
「お風呂…ありがとうございました。…手、大丈夫でしたか?」
少し落ち着きを取り戻した由亜は、いつだって自分の事を後回しにしてしまう。だから俺はそんな由亜を過保護に構いたくなってしまうんだ。
「俺の事は気にしなくていい。それよりも傷の手当が先だ。」
そっと抱き上げ、リビングにあるソファの上にそっとおろす。
予め用意しておいた救急箱を開き、ピンセットと脱脂綿を使いそっと足の裏の消毒をする。