夜の魔王と呼ばれる男、実は過保護で激甘でした
ピンポン
こんな感動を邪魔するタイミングで玄関のチャイムが鳴る。俺は、由亜を抱きしめたままなかなか離せずにいると、
ピンポン
再びチャイムが鳴るから、これには由亜が反応して、
「翔さん…誰か、来てます…。」
「うん…そうだな。」
俺は名残惜しい気持ちで由亜と額をコツンと合わせ、キスぐらいしておけば良かったと、後ろ髪を引かれつつ彼女を膝から下ろして立ち上がる。
「はい…。」
と、玄関に出てみれば、コンシェルジュが頼んだ品物を持って来てくれていた。
「ご注文の品お届けに来ました。お食事は中まで運びましょうか?」
親切そうな笑顔を向けてそう言ってくるが、今夜の由亜の姿は俺が独り占めしたいと、強い気持ちで拒んで
玄関で受け取る。
「由亜、腹減ってないか?寝る前に少し食べた方がいい。」
ダイニングテーブルに遅い夕飯を並べると、お手伝いしますと由亜がパタパタと寄って来る。
足が痛いのに…走るなと、慌てて抱き上げ椅子に座らせる。
「しばらく歩くな。どこか行きたい時は俺に言え。どこへでも連れてってやる。」
俺が絶対事項のように言うのに、
「そこまでじゃ…大丈夫です。そんなに見た目ほど痛くないですから。」
彼女はいつだって自分が弱ってる時でさえ、甘えたり頼ったりしない。自分で立ち上がり痛みを我慢して歩き出すのだ。
「せめて、この部屋にいる間は俺の言う事を聞いてくれ。ここにはいつまでだって居てくれていいから。」
俺だってそんな頑張り屋の彼女が、唯一甘えられる人になりたいんだと、そこは譲らない。
「本当は…京ちゃんと2人で地元に帰るつもりだったんです。昼間の仕事も辞めてしまって…。」
「それは、由亜の意思なのか?今まで頑張って築いてきた、仕事や地位を、そんなに簡単に捨ててしまっていいのか?」
全てが京香の言いなりならば、由亜の意思はそこに無いのではと心配になる。
「いつかは辞める事になるだろうって思ってましたから…。でも、人間関係も良かったし、やり甲斐はそれなりにあったので、突然辞める事になって…迷惑かけてしまってそれが辛いです。」
「出来ればcolorsは引き続き働いて欲しい。
だが…京香がどう出るか分からない今、同じ職場に戻るのは避けるべきだが…戻りたいのなら…
そうだな、うちの用心棒を通勤時に付けるか…。」
行き帰りさえ気を付ければなんとかなるんじゃないかと思い、そう提案してみる。
「でも…退職届も受理されてますし、スマホも奪われてて、仕事場の人にも連絡が取れないんです。」
「由亜が手放したく無いなら踠き足掻いてみろ。俺がいる。大丈夫だ。」
俺が励ますと、
「…月曜に職場に、ダメ元で連絡を入れてみます。」
と、由亜の目が少し光を取り戻す。
こんな感動を邪魔するタイミングで玄関のチャイムが鳴る。俺は、由亜を抱きしめたままなかなか離せずにいると、
ピンポン
再びチャイムが鳴るから、これには由亜が反応して、
「翔さん…誰か、来てます…。」
「うん…そうだな。」
俺は名残惜しい気持ちで由亜と額をコツンと合わせ、キスぐらいしておけば良かったと、後ろ髪を引かれつつ彼女を膝から下ろして立ち上がる。
「はい…。」
と、玄関に出てみれば、コンシェルジュが頼んだ品物を持って来てくれていた。
「ご注文の品お届けに来ました。お食事は中まで運びましょうか?」
親切そうな笑顔を向けてそう言ってくるが、今夜の由亜の姿は俺が独り占めしたいと、強い気持ちで拒んで
玄関で受け取る。
「由亜、腹減ってないか?寝る前に少し食べた方がいい。」
ダイニングテーブルに遅い夕飯を並べると、お手伝いしますと由亜がパタパタと寄って来る。
足が痛いのに…走るなと、慌てて抱き上げ椅子に座らせる。
「しばらく歩くな。どこか行きたい時は俺に言え。どこへでも連れてってやる。」
俺が絶対事項のように言うのに、
「そこまでじゃ…大丈夫です。そんなに見た目ほど痛くないですから。」
彼女はいつだって自分が弱ってる時でさえ、甘えたり頼ったりしない。自分で立ち上がり痛みを我慢して歩き出すのだ。
「せめて、この部屋にいる間は俺の言う事を聞いてくれ。ここにはいつまでだって居てくれていいから。」
俺だってそんな頑張り屋の彼女が、唯一甘えられる人になりたいんだと、そこは譲らない。
「本当は…京ちゃんと2人で地元に帰るつもりだったんです。昼間の仕事も辞めてしまって…。」
「それは、由亜の意思なのか?今まで頑張って築いてきた、仕事や地位を、そんなに簡単に捨ててしまっていいのか?」
全てが京香の言いなりならば、由亜の意思はそこに無いのではと心配になる。
「いつかは辞める事になるだろうって思ってましたから…。でも、人間関係も良かったし、やり甲斐はそれなりにあったので、突然辞める事になって…迷惑かけてしまってそれが辛いです。」
「出来ればcolorsは引き続き働いて欲しい。
だが…京香がどう出るか分からない今、同じ職場に戻るのは避けるべきだが…戻りたいのなら…
そうだな、うちの用心棒を通勤時に付けるか…。」
行き帰りさえ気を付ければなんとかなるんじゃないかと思い、そう提案してみる。
「でも…退職届も受理されてますし、スマホも奪われてて、仕事場の人にも連絡が取れないんです。」
「由亜が手放したく無いなら踠き足掻いてみろ。俺がいる。大丈夫だ。」
俺が励ますと、
「…月曜に職場に、ダメ元で連絡を入れてみます。」
と、由亜の目が少し光を取り戻す。