夜の魔王と呼ばれる男、実は過保護で激甘でした
そして、由亜は次の月曜日から元いた職場に復帰した。
流石にこの1週間のいろいろが、通い慣れた会社だけれど由亜を緊張させた。
会社の受付を通る時、本当に今持っているIDカードがまだ使えるのか不安になったし、自分の席がまだ残っているのか怖くて仕方なかった。
ドキドキしながら職場に入ると、社員の誰もが優しく出迎え、まるでリフレッシュ休憩でもとっていたかのような反応で戸惑うほどだった。
「課長、いろいろとご心配をおかけして申し訳ありませんでした。」
1週間前、辞表を提出した同じ場所に今立っている。
「いやいや、いろいろ大変だったみたいだけど、良い婚約者じゃないか。彼が直々に会社に来てどうか辞表を撤回して欲しいと、頭を下げられた時には驚いたよ。」
「そうだったんですか⁉︎」
自分の知らない所で翔は根回しをしていてくれた。
翔がどう説得してくれたのか詳しくは分からなかったけれど、同僚からは体調を心配され、暖かく迎え入れてくれた。
昼休みに同期で仲良しの友人2人に、半ば強引に連れられて本当は何があったのかと、尋問のように囲まれる。
「まずね。あのイケメンの婚約者は何者⁉︎
由亜って秘密主義だから、今までプライベートあんまり聞かなかったけど、まさか婚約者がいたなんて!」
屋上のベンチで適当に買って来てくれたランチを食べながら、友人達から質問責めに合う。
「えっと…付き合い始めたのは最近で…婚約者だなんて、上司に掛け合う為の口実だよ。」
「だけど、かなり高級そうなスーツをビシッと着こなして、どっかのモデルかなんかかと思うくらいだったんだよ?なんのお仕事してる人?」
同期の2人はなぜ1週間休んでたのかよりも、翔の事が気になるらしく、彼の事を根掘り葉掘り聞いてきた。
嘘はつきたくないと、出来る範囲で正直に答えた。
「良いなぁ。ハイスペック彼氏…私もそんな出会いが欲しい。」
1人が言うと、
「由亜は大変だったんだよ今まで、うつ病の従姉妹の面倒見てて、その為に会社まで辞めようとしてたんだから。」
人事課にいる友人は詳しく内容を聞いたらしく庇ってくれる。
「その従姉妹さんはもう大丈夫なの?」
どうやらそういう話しになっているらしい。
従姉妹の看病の為、突然辞表を出して辞めるつもりだった由亜を、婚約者が、自分が支えるからと辞表を取り消して欲しいと、言って来たんだと教えてもらった。
翔の巧みな話術に誰もが疑う事無く信じてくれた事に、罪悪感を覚えつつ、またこの場所に戻って来れた事に心底感謝した。
「従姉妹は今…施設に入る事になって…辞めなくてよくなったというか、本当は辞めたくなかったから…帰って来れて良かったよ。」
出来るだけ嘘は避けたくて、どうしても曖昧な表現になってしまったけれど、2人の友人はなんとなく分かってくれた。
「ねぇ。今度彼氏さんに会わせてよ。あんなイケメン滅多に会えないんだから。」
強く言い寄られて、
「わ、分かった…。予定、聞いておくね。」
由亜はその話しを早く終わらせたくてそう答える。
やったぁーと2人手を合わせて喜んでいた。
そして、何事もなかったかのように日常に戻って行った。
京香には執行猶予付きの罪状が言い渡される。
由亜に近付く事を禁止され、慰謝料の支払いを命じられた。
これで由亜の安全は確保出来たと、翔もホッと肩の力を抜く事が出来た。
流石にこの1週間のいろいろが、通い慣れた会社だけれど由亜を緊張させた。
会社の受付を通る時、本当に今持っているIDカードがまだ使えるのか不安になったし、自分の席がまだ残っているのか怖くて仕方なかった。
ドキドキしながら職場に入ると、社員の誰もが優しく出迎え、まるでリフレッシュ休憩でもとっていたかのような反応で戸惑うほどだった。
「課長、いろいろとご心配をおかけして申し訳ありませんでした。」
1週間前、辞表を提出した同じ場所に今立っている。
「いやいや、いろいろ大変だったみたいだけど、良い婚約者じゃないか。彼が直々に会社に来てどうか辞表を撤回して欲しいと、頭を下げられた時には驚いたよ。」
「そうだったんですか⁉︎」
自分の知らない所で翔は根回しをしていてくれた。
翔がどう説得してくれたのか詳しくは分からなかったけれど、同僚からは体調を心配され、暖かく迎え入れてくれた。
昼休みに同期で仲良しの友人2人に、半ば強引に連れられて本当は何があったのかと、尋問のように囲まれる。
「まずね。あのイケメンの婚約者は何者⁉︎
由亜って秘密主義だから、今までプライベートあんまり聞かなかったけど、まさか婚約者がいたなんて!」
屋上のベンチで適当に買って来てくれたランチを食べながら、友人達から質問責めに合う。
「えっと…付き合い始めたのは最近で…婚約者だなんて、上司に掛け合う為の口実だよ。」
「だけど、かなり高級そうなスーツをビシッと着こなして、どっかのモデルかなんかかと思うくらいだったんだよ?なんのお仕事してる人?」
同期の2人はなぜ1週間休んでたのかよりも、翔の事が気になるらしく、彼の事を根掘り葉掘り聞いてきた。
嘘はつきたくないと、出来る範囲で正直に答えた。
「良いなぁ。ハイスペック彼氏…私もそんな出会いが欲しい。」
1人が言うと、
「由亜は大変だったんだよ今まで、うつ病の従姉妹の面倒見てて、その為に会社まで辞めようとしてたんだから。」
人事課にいる友人は詳しく内容を聞いたらしく庇ってくれる。
「その従姉妹さんはもう大丈夫なの?」
どうやらそういう話しになっているらしい。
従姉妹の看病の為、突然辞表を出して辞めるつもりだった由亜を、婚約者が、自分が支えるからと辞表を取り消して欲しいと、言って来たんだと教えてもらった。
翔の巧みな話術に誰もが疑う事無く信じてくれた事に、罪悪感を覚えつつ、またこの場所に戻って来れた事に心底感謝した。
「従姉妹は今…施設に入る事になって…辞めなくてよくなったというか、本当は辞めたくなかったから…帰って来れて良かったよ。」
出来るだけ嘘は避けたくて、どうしても曖昧な表現になってしまったけれど、2人の友人はなんとなく分かってくれた。
「ねぇ。今度彼氏さんに会わせてよ。あんなイケメン滅多に会えないんだから。」
強く言い寄られて、
「わ、分かった…。予定、聞いておくね。」
由亜はその話しを早く終わらせたくてそう答える。
やったぁーと2人手を合わせて喜んでいた。
そして、何事もなかったかのように日常に戻って行った。
京香には執行猶予付きの罪状が言い渡される。
由亜に近付く事を禁止され、慰謝料の支払いを命じられた。
これで由亜の安全は確保出来たと、翔もホッと肩の力を抜く事が出来た。