夜の魔王と呼ばれる男、実は過保護で激甘でした
「由亜、改めて結婚してくれてありがとう。これまで以上に大切にすると誓う。」
「私も、翔さんの事大切にします。」
由亜はクルッと向きを変えて、翔に抱きついてくる。
こんな時いつもだったら顔を赤らめて、モジモジしてしまう由亜なのに…。
今夜はお酒を飲んでしまったせいか、いつもより少し大胆だ。
抱きしめ返しながら翔は由亜を伺い見る。
付き合って半年以上が経ったが、未だにキス以上先に進めないでいた。
男が苦手な彼女だから、少しでも怖がらせたらいけないと慎重になって、嫌われたく無い気持ちが上回って、どう手を出すべきか分からなくなってしまっていた。
だから…翔自身、初夜まで我慢しようと自分の中で決めていたのだ。
でも、今夜はさすがに疲れただろう…昨夜ギリギリまで、招待客一人一人に手紙を書いていたから、寝不足だろうし、今朝早くからのリハーサルに、準備に、分単位で刻まれたスケジュールで、食事もろくに食べれていなかった筈だ。
「…由亜、早く風呂に入っておいで。」
様々な邪心を追い払い、心を無にして翔は言う。
「翔さんがお先に…。」
今だって、気を抜いたら寝てしまいそうなくらい、とろんとした目をしている。
「俺は後でいいから、早く行って来い。くれぐれも風呂場で寝るなよ。なんならシャワーだけにした方がいい。」
心配症が顔を出し、のろのろと風呂に行く準備をし出す由亜を見守る。
「翔さん…そう言えば…下着とか持って来てません。」
「大丈夫だ。風呂場に全て揃ってるから。」
翔に手を引かれ、ソロソロと洗面所まで連れて行かれる。
洗面所から、ガラス張りの風呂場が丸見えだ。
丸くて広いバスタブには、絵に描いたように真紅のバラの花弁が浮かべられている。
その向こう側にはまたガラス張りの夜景…。
こんなにスケスケで大丈夫かな?
由亜の脳裏にそんな言葉がふと浮かぶが…ここは45階、それより高いビルは見当たらないし、私の身体なんてたいした魅力も無いのだから…
美しい女性を沢山見て来ているであろう旦那様は、きっと、私なんかの色気の無い貧相な身体じゃその気になれないんだろうと、由亜は諦めにも似た気持ちになっていた。
同棲を始めてから何度か同じベッドでも寝た。
そのたびドキドキと心臓が高なったけど、結局抱きしめられて眠るだけで…
寒い冬の夜なんかは、湯たんぽ代わりにされているのかと思うほどで…。
立ち止まり、黙ってしまった由亜の顔色を覗き込み、だいぶ酔っているのかと翔は心配する。
「由亜…酔ってるようならシャワーだけにした方がいい。それか…せっかくだから一緒に入るか。」
何がせっかくだ…?
翔は自分が放った言葉に苦笑いしながら、冗談半分に聞いてみる。ドクドクとあり得ないくらい心臓音が体中に響いている。
「えっ…?」
時が止まったかのように、由亜は固まり動かなくなる。
これ以上困らせたくは無い。
「いや、冗談だ。真に受けるな。」
ポンポンと優しく頭を撫でて、廊下へと足を向ける。
すると…あり得ないことに、由亜が翔の長袖のシャツの袖を掴む。
「えっ!?」
びっくりするのは翔の番で、由亜の思いがけない行動に戸惑い固まる。
「…一緒に…入りたいのか…?」
由亜の些細な変化だって見逃さないよう、全神経を集中させて由亜の表情を見つめる。
「あの…私、こういう事に…とても疎くて…どうしていいのか、分からないですが…世の夫婦はみんな一緒にお風呂に…入るのが当たり前ですか?」
恥ずかしそうに真っ赤になりながら、俯き加減で由亜が言う。
「俺だって、世の中の夫婦の営みはよく知らないが…いつでもどこでも出来るだけ側にいたいと思うだろ?
しかも今の由亜は少し酔ってる気がするし心配になる。」
袖を握っている手をそっと外して、その手の甲に口付けを落とす。
「…一緒に…入りますか?」
消え入りそうな小さな声で、それでも勇気を出して翔に聞く。
「本気か…!?」
「えっと…こんな色気の無い身体では…翔さんが満足出来ないと…思いますが…。」
「そんな風に思ってたのか!?」
「経験豊富な翔さんですから…私なんかじゃ…。」
話しの途中で急速に繋がれた唇に、容赦無く割入り、由亜を翻弄してしまう。
息が乱れ、心臓もバクバクと高なっている。今にも崩れ落ちそうな身体を、翔がぎゅっと抱き留めてくれる。
「由亜は誰よりも綺麗だ。だから…私なんか、なんて言うな。
由亜を怖がらせたくなくて今までずっと我慢してた。もう少し触れていいなら…触れたいが、さすがに風呂は理性を失くす。」
そう言って、翔は洗面所を出て行く。
「遠慮なんか要らないです。もっと…沢山触って下さい。だって私、翔さんの奥さんですから…我慢しないで…。」
ドア越しに一生懸命話しかける。
翔はまだ向こう側に居てくれてるだろうか…?
広いお風呂に浸かりながら、さっきまでのやり取りを思いだし、茹で蛸のように真っ赤になる。
酔いは冷めたが緊張が頭の中を支配してくる。
このままではのぼせてしまいそうだ。
パタパタとバスタブを出て、再び洗面所にと舞い戻る。
脱衣カゴの中に茶色い袋を見つけて中を覗くと、下着のセットと3着ほど種類の違うパジャマが入っていた。
由亜はその中の1着を選び出す。
「私も、翔さんの事大切にします。」
由亜はクルッと向きを変えて、翔に抱きついてくる。
こんな時いつもだったら顔を赤らめて、モジモジしてしまう由亜なのに…。
今夜はお酒を飲んでしまったせいか、いつもより少し大胆だ。
抱きしめ返しながら翔は由亜を伺い見る。
付き合って半年以上が経ったが、未だにキス以上先に進めないでいた。
男が苦手な彼女だから、少しでも怖がらせたらいけないと慎重になって、嫌われたく無い気持ちが上回って、どう手を出すべきか分からなくなってしまっていた。
だから…翔自身、初夜まで我慢しようと自分の中で決めていたのだ。
でも、今夜はさすがに疲れただろう…昨夜ギリギリまで、招待客一人一人に手紙を書いていたから、寝不足だろうし、今朝早くからのリハーサルに、準備に、分単位で刻まれたスケジュールで、食事もろくに食べれていなかった筈だ。
「…由亜、早く風呂に入っておいで。」
様々な邪心を追い払い、心を無にして翔は言う。
「翔さんがお先に…。」
今だって、気を抜いたら寝てしまいそうなくらい、とろんとした目をしている。
「俺は後でいいから、早く行って来い。くれぐれも風呂場で寝るなよ。なんならシャワーだけにした方がいい。」
心配症が顔を出し、のろのろと風呂に行く準備をし出す由亜を見守る。
「翔さん…そう言えば…下着とか持って来てません。」
「大丈夫だ。風呂場に全て揃ってるから。」
翔に手を引かれ、ソロソロと洗面所まで連れて行かれる。
洗面所から、ガラス張りの風呂場が丸見えだ。
丸くて広いバスタブには、絵に描いたように真紅のバラの花弁が浮かべられている。
その向こう側にはまたガラス張りの夜景…。
こんなにスケスケで大丈夫かな?
由亜の脳裏にそんな言葉がふと浮かぶが…ここは45階、それより高いビルは見当たらないし、私の身体なんてたいした魅力も無いのだから…
美しい女性を沢山見て来ているであろう旦那様は、きっと、私なんかの色気の無い貧相な身体じゃその気になれないんだろうと、由亜は諦めにも似た気持ちになっていた。
同棲を始めてから何度か同じベッドでも寝た。
そのたびドキドキと心臓が高なったけど、結局抱きしめられて眠るだけで…
寒い冬の夜なんかは、湯たんぽ代わりにされているのかと思うほどで…。
立ち止まり、黙ってしまった由亜の顔色を覗き込み、だいぶ酔っているのかと翔は心配する。
「由亜…酔ってるようならシャワーだけにした方がいい。それか…せっかくだから一緒に入るか。」
何がせっかくだ…?
翔は自分が放った言葉に苦笑いしながら、冗談半分に聞いてみる。ドクドクとあり得ないくらい心臓音が体中に響いている。
「えっ…?」
時が止まったかのように、由亜は固まり動かなくなる。
これ以上困らせたくは無い。
「いや、冗談だ。真に受けるな。」
ポンポンと優しく頭を撫でて、廊下へと足を向ける。
すると…あり得ないことに、由亜が翔の長袖のシャツの袖を掴む。
「えっ!?」
びっくりするのは翔の番で、由亜の思いがけない行動に戸惑い固まる。
「…一緒に…入りたいのか…?」
由亜の些細な変化だって見逃さないよう、全神経を集中させて由亜の表情を見つめる。
「あの…私、こういう事に…とても疎くて…どうしていいのか、分からないですが…世の夫婦はみんな一緒にお風呂に…入るのが当たり前ですか?」
恥ずかしそうに真っ赤になりながら、俯き加減で由亜が言う。
「俺だって、世の中の夫婦の営みはよく知らないが…いつでもどこでも出来るだけ側にいたいと思うだろ?
しかも今の由亜は少し酔ってる気がするし心配になる。」
袖を握っている手をそっと外して、その手の甲に口付けを落とす。
「…一緒に…入りますか?」
消え入りそうな小さな声で、それでも勇気を出して翔に聞く。
「本気か…!?」
「えっと…こんな色気の無い身体では…翔さんが満足出来ないと…思いますが…。」
「そんな風に思ってたのか!?」
「経験豊富な翔さんですから…私なんかじゃ…。」
話しの途中で急速に繋がれた唇に、容赦無く割入り、由亜を翻弄してしまう。
息が乱れ、心臓もバクバクと高なっている。今にも崩れ落ちそうな身体を、翔がぎゅっと抱き留めてくれる。
「由亜は誰よりも綺麗だ。だから…私なんか、なんて言うな。
由亜を怖がらせたくなくて今までずっと我慢してた。もう少し触れていいなら…触れたいが、さすがに風呂は理性を失くす。」
そう言って、翔は洗面所を出て行く。
「遠慮なんか要らないです。もっと…沢山触って下さい。だって私、翔さんの奥さんですから…我慢しないで…。」
ドア越しに一生懸命話しかける。
翔はまだ向こう側に居てくれてるだろうか…?
広いお風呂に浸かりながら、さっきまでのやり取りを思いだし、茹で蛸のように真っ赤になる。
酔いは冷めたが緊張が頭の中を支配してくる。
このままではのぼせてしまいそうだ。
パタパタとバスタブを出て、再び洗面所にと舞い戻る。
脱衣カゴの中に茶色い袋を見つけて中を覗くと、下着のセットと3着ほど種類の違うパジャマが入っていた。
由亜はその中の1着を選び出す。