【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈2〉


「――んっ」


 何度も、何度も――奪うような口づけを繰り返す。
 それは私の知らない彼の姿で――。エリオットよりずっと大人の口づけに、まるで全身を侵されていくような感覚に襲われる。

 頭の芯が痺れて、指先一本力が入らなくて……もう何も……考えられない……。

「アメリア、君を愛している」

「……ん、――ぁ……わた……し、も……っ」

「知っている。君が俺を愛してくれていることは……ずっと前から知っていた」

 キスの合間に愛の言葉を囁いては、時折首筋に吸い付いてくる。彼の唇が、徐々に肩から胸元へと、私の肌に赤い華を咲かせていく。

 気付けばバスローブの紐は(ほど)かれ、私の身体は秋の夕暮れの冷えた空気に晒されていた。

 けれど寒さは少しも感じない。それはきっと、ウィリアムの唇に犯されているせい。彼の唇が触れたところ全てが、やけどのように熱を持っているから……。


「今夜は、寝かせてあげられそうにない」


 熱っぽい瞳で私を見下ろし、熱い吐息を漏らすウィリアム。

 そんな彼に見つめられ、私の胸は張り裂けそうに音を鳴らす。

 全身が燃えるように熱くて、自分で自分がわからなくなる。身体と思考がバラバラになってしまいそうで……。

「……っ」

 ――ああ、熱い。身体が………熱くて。

 まるで自分の身体じゃないみたいに、私の意識が、遠のいていく――。

「まっ……て……わた、し……」
「待てない」

 私の下腹部に伸びるウィリアムの手のひら。それは先ほどまではあんなに熱いと思っていたのに、どういうわけか冷えていて、その冷たさに私は思わず身を縮めた。

 すると彼ははたと手を止め、眉をひそめる。

「熱すぎないか?」

 そう呟いた彼の右手が、私の額に当てられる。――と同時に顔色を悪くするウィリアム。

 どうか、したのだろうか……。
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