【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈2〉
――あぁ、エリオット、ごめんなさい、ごめんなさい。そんな顔をさせてしまって。わたし、本当にそんなつもりじゃなかったのに……。
「何度言ったらわかってくれるんだ。僕が君の側にいたいんだ。君を幸せにしたいんだ。――それなのに……君は僕と一緒になるのが嫌? それとも町に住むのが嫌なの?」
「――ッ、……それ、は……」
いつになく傷ついたようなエリオットの表情。それをどうにかしたいのに――どうしてわたしは即答できないの……?
わたしは悩んだ挙句、俯いた彼の顔を覗き込むようにして、見上げた。
「わたし……どうしても不安なの。わたしにはあなたしかいない。もう他に誰もいない。……わたし、考えてしまうの。あなたの言葉は、あなたの気持ちは心から信じているわ。でも人はいつか死ぬ。こんなこと言いたくないけれど、わたし、もしあなたまでいなくなったら……生きていけない、って」
――おばあさまが死んでまだ二週間。一生分の涙を流したかと思うほどに泣いたけれど、わたしの心は未だ整理がついていない。痛くて、怖くて――わたしを支えてくれるエリオットの腕が無ければ、わたしはきっともうここにはいなかった。
「エリオット。わたし……わたしね……知ってるのよ。町の人に自分が良く思われていないってこと。あなたは必死で隠そうとしていたけど……あなたがご両親から、わたしとの関係を反対されているってこと」
「――ッ!」
刹那――彼の瞳が、これでもかというほどに大きく見開く。
「あなたはわたしと一緒にいたいって言ってくれる。それはわたしも同じよ。だけど、本当にそれであなたは幸せになれるのかしらって。わたしと一緒にいることが、本当にあなたのためになるのかしらって……。今まではこんなこと一度だって思わなかったのに……どうしちゃったのかしらね、わたし……」
「……っ」
彼の瞳が、揺らめく。