【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈2〉
「わたし、あなたを愛しているわ。心から、あなたのことを愛している。だからあなたにもちゃんと幸せになってもらいたいの。……どうしたらいいかは、まだ、わからないけれど……」
わたしの言葉に、再び眉をひそめるエリオット。
彼はわたしの両手を強く握りしめると、躊躇いつつも口を開く。
「それは……何度も伝えたよ。君が側にいてくれれば……僕は、それだけでいいって……」
その声は震えていて……彼の真摯な想いが伝わってきて、わたしは頷く。
「ええ。そうね、……そうよね。わたし、まだ不安だけど……でも、あなたの言葉は嘘じゃないってわかるから……だから、あなたを信じるわ」
「……ユリア」
「でも、あなたの優しさに甘えるだけじゃ嫌なのよ。だから、わたしにも何かさせて。あなたに貰うばかりじゃなくて、わたしもあなたに返したいの。あなたがわたしに与えてくれる幸せと同じくらい、あなたに何か返したい。あなたの愛に応えたいのよ」
「――っ」
――そうよ、わたし、エリオットにこんな顔をさせたかったわけじゃないの。本当は、あなたを幸せにできるようになりたいだけなの。
「側にいるだけでいいなんて、寂しいこと言わないで。もっと、わたしにも期待してくれる?わたし、あなたの側にいるから。ずっと側にいるから。約束……するわ」
「……っ」
わたしの言葉に、息をのむエリオット。その表情が安堵に変わり、彼は「それなら……」と、口を開く。
「僕の隣で、前のように笑っていてくれないか? 僕は本当にどんな君だって好きだ。だけど……僕は、君の笑顔が一番好きなんだ」
そう言って彼は、照れくさそうに微笑んだ。
その笑顔に、わたしの心が温まる。
わたし、本当はまだ辛いけど、でもエリオットがいてくれるなら、彼が少しでも笑っていてくれるなら、その温かい眼差しをわたしに向けてくれるなら――。
「わたし、笑うわ。だってわたしも、あなたの笑顔が大好きだから――」
――雨が止む。
雲に隠れていた太陽が顔を見せ、森に日差しが降り注ぐ。
わたしたちはその眩しさに目を細めながら、唇を重ねた。