【コミカライズ】愛しのあの方と死に別れて千年 ~今日も私は悪役令嬢を演じます~〈2〉
――気持ち悪い、……気持ち、悪い。今すぐ死んでしまいたい。
こんなことになるのなら、あのとき舌を噛み切って死んでしまえばよかった。
けれどそうしなかったのは、エリオットの顔が浮かんだから――。彼の悲しむ顔が、脳裏をよぎったから……。
でも、結局こんなことになるのなら――どうせ死んでしまうとわかっていたのなら、綺麗なまま死んでしまいたかった。こんな苦しい思いしないで、彼のものであるうちに、死んでしまえば良かった。
「……ごめん……なさい」
もう、それしか出てこない。
汚い……汚い、汚い、汚い。こんな、自分。あの男たちを憎むことすらもうできない。ただ苦しい、ただ――消えたい。全部、忘れてしまいたい……。全て……全て……。
「ごめんなさい……エリオット」
――あぁ、わたしは何のために生まれてきたのだろう。何のために今まで必死に生きてきたのだろう。数時間前までは幸せだったはずなのに……。昨夜だってエリオットに抱かれて、本当に幸せだったのに、こんなに……簡単に崩れ去る。
わたしはどうして生まれてきたのだろう。彼を苦しめるために生まれてきたのだろうか。わたしを愛した彼は、わたしが死んだらどれほど辛い思いをするのだろうか。きっと、想像もできないほどに苦しい思いをするのだろう……。
けれどわたしはもう――生きることを選べない。
「……さようなら、エリオット」
ごめんなさい、ごめんなさい。わたし、もしももう一度生まれ変われたら、きっとあなたに会いに行くわ。今度こそ、こんなことにはならないように――もっと強くなって、あなたの側にいられるように頑張るから……だからどうか、弱いわたしを、許してね。
――意識が遠のく――。
喉が焼けるように熱くて……もう、声も出せない。
わたしは土の上に横たわると、滲んだ白い月を見上げ……エリオットの笑顔を思い出しながら……精いっぱいに……ほほえんだ。